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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
30/44

ある日の日記30回

本当の三十回部分を飛ばしてました!

申し訳ない。

後付けです。

宜しくお願い致します。

    本当の三十回



 どうもお待たせ致しました。やっと彼を引き出して来ました。

 しかしいくら飾ってもやはり土台が崩れていますので、どうしようもないんです。どうか彼を笑わないで下さい。お笑いになったら、また彼は恥ずかしさのあまり、引っ込んでしまいますからねっ。

 やはり彼も辛いのです。何も自分から好き好んで醜い顔のカス(人間)に生まれてきたいとは望んでいなかったのです。

 しかし自分が望むと望まないとに関わらず、いつかこの世に生まれ落ちて来た時には、そんなに世にも醜い顔のカス(人間)だったのです。

 どうか君達にも彼の悲しい宿命を理解できるような暖かい心を持ってもらいたいですね。

 君達さえ笑わなければ、彼も決して恥ずかしがって引っ込むことはないのです。

 君達さえ理解してやれば、彼は何も世をはかなんで世捨て人にならないで済むんです。

 どうか彼に理解と(その悲しい宿命による)同情を与えてやって下さい。お願いします。


 しかしやはり、今日は取り立ててお話しすることが見当たらないのです。

 だから良いですか? 僕の空想とやらを一つぶちかましても……

 イエイエ、実にくだらない空想なんです。

 僕が幼い頃、よくお袋から聞かされました。


「お前、大きくなったら何になる。何になろうとかまわないが、人様にご迷惑をかける人間にだけはならないでおくれっ」……て!

 僕はその頃から、ある一つのことをずっと夢見てきたのです。

「僕、大きくなったら……、大きくなったら、世界中でいっちば~~ん綺麗な女性ひとを見つけて、その女性ひとをお嫁さんにするんだ。そして僕はその女性ひとの旦那さんになるんだ!」


 そんなに笑わないで下さいよ。


「あんな顔していて、よくそんなこと言うな。ヘソが茶沸かすじゃねえか!」



 しかしたとえ今、このように年老い、しわがれた顔をしてますが、人間やはり幾つになっても子供の頃の夢というものは、一生消えないものだし、懐かしいものなんです。

 だから今の年老いた醜い顔を見ないで、そのハートを見てやって下さいよ……ねっ!

 女性である君達もやはりそうでしょう?

 子供の頃のあのママゴトの夫婦ごっこをした懐かしい思い出を、やはり微笑ほほえましく思い出す時もあるでしょう。

 その時の風景を思い起こしただけでも、夫婦生活(結婚生活)によせる期待と夢とは、如何程いかほどであるか? 想像もつかないものだと思います。

 やはり僕も今は、適齢期の真っ只中ですから、その事を毎日毎日夢見ているのです。


 しかし、今にしても随分と子供の頃の夢とはかなりかけ離れてるようです。

 やはり大人になり、職を身につけ自活していくとなると、その夫婦生活の幸不幸を決める最大の決め手は、収入の良い職についている事なんです。

 もし僕がその職に就く最初の時に、そういった事の予測がついていたなら、何もこのようなつまらない会社に就職しやしなかったのです。


「アットットッ。こりゃ~、どうもスンズレイしました。マァ~、良いじゃないですか! 本当のことを言っているんですから!」


「「アットットッ。こりゃ、余計にひどいことですね。」」



 とにかく、正直言って今は後悔してるんです。

 その幸不幸を決める最大の決め手となる就職を、あまりにもいい加減に決定してしまっていたのです。

 いくら働けどいくら働けど、チッとも結婚資金はたまらないんです。

 それどころか、お金が足らなくなって、たびたび質屋通いをする有様なんです。

 しかしその質屋へ出す品物すら無くなっているわびしい懐にあっては、とても結婚出来ることなんか想像もつかないんです。


 だから……、だから僕はそのわびしくカラッポになった懐の中に入っていって、一人コッソリ夢を見てばかりいるのです。

 このようなお恥ずかしい姿を、とても人様にお見せ出来るものではありませんしね。

 言わば女性である君達がトイレへ入っている姿を決して見られたくない……といった心境ですよ――ハイ!


 アァ~。どうも今日は下品な言葉ばかり飛び出しますね!

 これも仕方のないことなんです。君達のように恵まれた家庭に育ち、そのような侘しい苦しみを味あわなくて済む女性ひと達をみると、僕の心はつい、いじいじ……いじ~けてしまうんです。

 だから―ねっ。僕のこの苦しい胸の内を察して下さいよ!

 とゆうことで、僕はまたカラッポになった懐の中へコソコソと逃げ込んでしまいます。


    三十回




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