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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記3回


三回



 二月十二日


 どうやら君はガチャ目(近視眼)らしいですねっ。

最初お目にかかった時もそうでした。


「今まで一度も見たことないわ。全然知らなかった……」などと――


僕の心を仰天させるほどの宣言をしましたね。

その時には、まさかそのようなことがあるものか? などと、自分の耳を疑いました。


 しかし今朝の、ある人からの言い伝えによって、その事の意味がやっと分かったのです。


「モタイさんはガチャ目だから、藤田さんがきれいな人だってこと知らなかったのよ。

だからあんなに毛嫌いしたのよ」云々――


 また、先日の会話においても、僕が手紙をよこした後、同僚達と語る時


「それがものすごくミタンない(醜い)人なの! ウチの会社で一番ミタンない人なのよ」などと――


不思議不思議。また不思議な宣言をしましたね。


 このことを耳にした時も、僕は我が耳を疑いました。

そんなバカな? 広く人々に伝わっていると思っていた「ウチの会社で一番の良い男よ」ということが……

また僕の妄想は揺り動かされてしまったのです。


 だから、スキー会に参加した時、他の娘が「聞くと見るのとは大違いじゃないの。良い男じゃないの。モタイさんも嘘つきねッ」などと言っていることを妄想していたのです。


 それまで、まさかこのような簡単な手紙文で、僕達の連鎖仲きずなが断ち切られるとは思いもよりませんでしたから――


僕は、「何だ、また彼女は嘘ついてやがる! どうしてあんなにウソばかりつくんだろうと……、安易に、君の人柄を疑いました。


他の男性と電話する時も、ウソの名前を使ったり、また今度の、僕に宛てた手紙の住所にしても、ウソばかりついて――


どうして君は、そんなに自分をありのまま示そうとしないのか? 理解に苦しむのです。

とは言え、そのようなことで君がやはりガチャ目(心においてもガチャ目)だということを知ったのです。


 だから僕は、益々これまでやってきたことが、アホ臭く思えてきて、アゲ~~ンじゃない、アッケラカ~ンとなったのです。

ナンダ! どうしたんだ? こんなことがあっていいのか? このまま済ましていいものだろうか? などと、気をもみました。


しかしこの日記のことが、今までに一度も君の目にとまっていないものだとしたなら、やはりあのような内容の文意でこと足りると思ったのでしょう。


 僕が、このような薄情きわまりない手紙をもらって腹を立てたのは、やはりこれまで日記に書いていたごとく――


この日記によって、君や、他の人達と何らかの交流があっていたものと信じていたからなんです。本当に心底信じ込んでいたんです。


 だからこそ、こんな! ――

まったく何の疑惑も晴らすことの出来ないような手紙をもらったことに、腹が立ったのです。

こんなものだったら、もらったって一文の役にも立ちや~しないのです。


 その為、今後君のことをどう処理していいのか? ……思案に暮れています。


欲を言えば、もう一度書き直して、もう少し自分の疑惑を晴らせられるような手紙をよこして欲しいのだけど――

しかしこの願いも、この日記が君の目に止まっていなければ、まったく空転に終わることでしょうねッ。


 もう今更、君との仲を元に戻すことなど出来ないだろうと思います。

その望みは十中二くらいですからねっ。その二ぐらいの望みがまだ残っています。


だからそれを完全に消すためにも、また未だ解決されない疑惑を晴らす為にも、もう一度詳しく書いて手紙を出そうかと思います。


 何しろ、これじゃ~、あまりにもお粗末すぎますからねッ。

大日本〇〇一の美女とまで言われている女性ひとが、この始末じゃ、本当に嘆かわしいですよ。

同じ会社で、皆と共に、憧れている僕にしてみれば、とても君を低脳チャンネルな飾り人形だと受け止めたくないのです。


 だからお願い。もう一度その勲章にふさわしいような貴文を僕によこして頂けませんでしょうか?

その願いが叶えられない時には、いよいよ僕は、君を本当のドブネズミ的美女として、地獄の末端に放り落とさなければなりません。

実に悲しいことですけどねっ。


 最後に一言――


「本当は藤田さんの方が好きだったの。でも、高瀬さんが、そんなふうに書けと言ったから書いて出したのよ。今は後悔しているのよ」……


ということは、とても信じられないことでしようね。


 では、これ以上、恥をかかないようにして、ひとまず終わりにします。


 オヤスミナサイ


    三回







月2回の投稿は閑散としてますので、月4回、週1投稿に切り替えます。

中味は変わりませんが、宜しくです。

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