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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記28回

    二十八回


もし自分が賃金を支払う立場にあったら、返って成績の悪い人達に多くの賃金を支払うだろう。

その意図するところを君達にはご想像がつきますでしょうか?

つまり本当に実力を持っている者は、その己の生命を充分発揮するだけで満足ゆくものなんです。それさえあれば、たとえ不平等でわあろうが、あえて多くの賃金や名誉を欲しいとは思いません。

 今の世の中では、平然としてその成績を収めただけの報酬を受けるのが当然だとして、己の地位や名誉に自惚れている者が多いのです。

 僕は別にそのような者達を尊敬する念も持ち合わせていないし、返って彼等が低い次元の生命のように思えるのです。

 僕は自分の残した成績による報酬が自分が望むだけの分を貰ったら、あとの分はそういった成績の悪さで低い賃金しか貰えないでいる人達に分けてあげるだろうと思います。

 これも全て実力主義、唯物主義の生み出した醜い産物でしょうね!

 これだけ言って、君達に理解出来るでしょうか?


 とにかく誰も好きこのんで自分が能力の低い人間に生まれてくることなど望んではいなかったのです。

 それなのに、いざ仕事にたずさわると成績というものによってハッキリと存在価値の有無が二分されるのです。

 能力の低い者はそれだけ低い報酬しか受けられません。能力の優れたものはそれだけ高い報酬を受けられます。

 その矛盾したことが、今の自分には納得いかないので、今はあえて不貞腐れた態度をとっているのです。


 本当はもっといい成績を残そうと思えば残せるんです。

 しかしそれが叶えられない者達の気持ちを思いやると、僕にはどうしても自分だけ優れた成績を残すということが出来ないのです。

 マァ~、後日また今日のことにしろ、色々な考えを述べることにしろ、詳しく書きたいと思っていますが――


 とにかくそういって、実力主義一点張りの古いオッチャンなんかは、今日までにおいて、僕が想像もつかないほど名が知られて、その存在価値が認められているということを聞いて

「そんなバカな。あんな奴に、そんな評価を受けるがとないよ! 俺が必ず奴の本性を暴いてやる!」

などといった――

 コケにまたコケのはえたような古ぼけた唯物主義を吐いておられるのです。

 そのいかにも可哀想な姿を見ていると、もう僕には何の手ほどきも出来ない……という、諦めの気持ちになるのです。

 イエ。別に彼をコケにしようとゆう気持ちは微塵も持ち合わせてはいないのです。

 ただ現実のありのままを見極め、そして今後、どうなっていくのかをチョッピり示唆しただけなんですよ――ハイ。



 二月二十四日


 もうどうか僕をこれ以上悲しませないで下さい。

 彼等にはまったく僕の心など分かりはしないんだから――

 まるで一+一(イチタスイチ)も分からないような子供みたいじゃないか!

 彼等はいったい今まで何をしてきたとゆうのか?……

 僕の目には、まるで自分よりも後に生まれてきた子供みたいに映るんですよ!

 まったくあれで僕の上役というつらをしていられるものだと、呆れ果てますよ。

 彼等は自分の心(生命)に聴診器をあてたことがあるのだろうか?……

 自分の生命がどのような鼓動をしているのか? 聞いたことがあるのだろうか?

 もう彼等の心(生命)は、アメ玉を与えられてなでなでされている子供みたいに、自分の生命の実相も見失って醜い大人の言いなりになっているみたいだ!

 自分が本当は何をすべきなのか? 何をしているのか? まったく分からなくなっている――

 実に悲しい子供さ!


 彼等は今まで一体何をしてきたとゆうのか?

 僕にはまるで自分の弟みたいに幼稚に映る!

 どうかもう僕にそのような憐れな姿を見せないでくれ!

 これ以上、僕に何も言わないでくれ!

 とても耐えられないんだ。


 自分の上役ともあろうお人達が、こうも次元の低い人達だったなんて――

「アァ~。もう面倒臭せ~。くだらん!」

「ハカバカしくてやってられんわ!」


 彼等はただ、自分達の身から出たサビを、自分達の責任にしないで、そのサビが悪いと言って抹殺しようとしているだけじゃないか!

 自分達がそのようなサビを出さなければ、何もそのサビの処理に頭を痛めることも無かったんだ。


 結局、一番悪いのは上役である彼等であるというのに――

 奴等は己達の責任を回避して、その責任逃れをしているだけなんだ。

 今になって「俺も散々頭にきていたんだよ! 当然の処置さ!」と、平然とした顔をして、自分達が上役としての権限を保持しているかのようにのぼせ上がっているんだ!


 まったくこのような上役が居たんじゃ、俺達の職場は良くなるはずがないよ。

 もっと詳しく述べれば、完全に彼らを論理面でまかす自信がある。しかしそれもバカバカしいことさ!

 もう彼等には、何も言わないでくれ! まったく恋遊びの架け橋を、奴等の腐りきった職務に利用しようとしてやがる。そんなこきたないことに、俺が手助けするとでも思っているのかい? もうゴメンさ!

 彼等には何も言わないでくれ。仕事に関しては何も言わないことにするよ。


    二十八回




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