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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
24/44

ある日の日記24回

    二十四回


 二月二十二日


 とにかく出ていくしかない。

生き甲斐を求めて――!


 このまま部屋(孤独)に閉じ込もっていても、どうにもならない事だ。

 学会の中にあっては、もしかしたら君達が手を回して、僕の悪評が言いふらされているかもしれない。


「あの人は、本当に自分本意な人なのよ……」などと


 それでやっと僕の望みを叶えられそうな感じを受けた娘とも、上手くいかなくなっているかもしれない。


 しかしそれならそれで仕方のないことさ!


 とにかく今は、心の底から腹を割って語り合える友が欲しい。

 語り合える友が居ないから、このように空しい思いを味わうんだ!

 皆の話しを聞いて、少しでも生き甲斐のある張り合いのある生活を営められるようになりたい!


 もう俺は君達のご機嫌なんか取ることはしないのさ!

 彼女のことも忘れてしまった。

 今の会社で身を立てることも諦めてしまった。

 卑怯だと言われたって構うものか!奴等だって好き勝手なことをしてるんだからなっ。


 俺はもう君達(悪霊君達)の言うことなんか聞きやしない。

 全て幻聴さ! 何の現実味も無い。屁みたいなものさ!

 そのようなことに、自分の自由な時間を奪われ、無意味に過ごすことなんか、まったく愚かというしかない。

 もう捨てたのさ! 君達との恋遊びも――

 そして、スターの座も捨てたのさ。


 俺にはそのような力量なんか持ち合わせていないから。

 そして俺は外へ出て行く。新たな恋女こいびとを求めて……


 アァ~、早く恋女こいびとが欲しい。

 その望みさえ叶えられれば、今思い煩っていることなんか、まったく湧いてきやしないんだ!

 早く……! もうこんな生活をしていることなんか、全く価値がない。


 サア~、御本尊様にお願いしよう。この沈んだ気持ちを奮い立たせてくれることを(活動力、実践力がつくことを)、君達によって思い煩わされている幻聴を断ち切ることを……

 そして勤行に励み、心を充実して、少しでも早く彼女を持ち、第二の人生を踏み切ることが出来るようになる為に。

 そして今の自分から脱する為に……

 その望みを叶えてもらう為には、生半可な気持ちではダメなんだ。

 一にも二にも、御本尊様にお願いするのみ。これしか、それらの望みを叶えられるものわない!



 とにかくやはり、それでも彼は(自分)、心の整理がつかず――

 従って、この日記に書いていくしかなかった。

 もう彼女のことは忘れようと思い、会社の姉さん、妹達との交流も断ち切ろうと思った。

 所詮、いつまでもこのような繋がりを続けていても、彼にはまったく自己を向上させる時間と機会を相変わらず得られないのである。

 いくら尽くしても、いくら大声を張り上げて、彼等に訴えても、まったく彼等には彼の真心なんか届きわしない。

 チッとも現実のいざこざを解決することが出来なかったのである。


 彼は考え、悩み、思い煩いして、とうとう彼女との交流を断ち切ることにした。

 それでも、やはり自分の考えを整理していかなければならないと思い、これからは自分と語り合っていこうと思ったのである。

 それで彼もいくら日記に自分の考えを訴え、それが誰彼に聞き届かなくとも、何にもイライラすることもないし、何も期待して書くこともなくなったのである。


 とにかく、彼は渋々とこの前の話しの続きを思い起こしてみた。

 あれから大分時間も経つし、興味もなかったのであるがーー

 しかしそれでも彼には、まだ誰かがこの日記を見に来ているという妄想から抜けきれていなかったので、その方への気遣いも半分あり、渋々と書き始めたのです。



 さて、そういった素晴らしい彼女達と口を聞けた嬉しさで、彼はその夜、心地の良い寝付きが出来た。

 夢の中でも彼女達と話し合い、それが現実から抜け出て、しまいには自分の寝ている傍らに寄り添ってくるというふうにまで発展してきたのである。

 そんなバカな……、ただの一回切り話ししただけなのに、彼女がそのような事をしてくれるはずがない……。

 しかし現にこうして彼女は自分の寝ている傍らにシズシズと身を寄せてくるのだ。

 彼は戸惑い、恥ずかしいながら、このまま彼女の身体に触れていいものか? 布団を必死に掴みながら身を震わせていたのである。

 そうしている内にも、彼女は段々と――

 もう今にも自分の身体にくっつきそうにまで近づいているでわないか――


「「アァ~、止めてくれ! 俺にはまだ女性を抱いた経験がないのだ~~!」」


――と、その悲鳴で彼はとび起こされた……

 というような嬉しい夢を見ないほどに、彼はいい気持ちでグッスリ眠っていたのである。


 だからその明くる日は、スッカリ疲れも取れていて、気持ちも爽快だったのです。

 その清々しい気分で会社に行っていながら、その先に待ち受けていたものは、決して彼の清々しい気分とは打って変わってたものだったのである。


 彼は自分の耳を疑ってばかりいました。

 まさか、そのようなはずはないし――

 しかし確かに彼等はそのような噂をしていたのです。


 そこまで書いてきた所――

 彼はまたもの面倒臭がり屋の気性が首をもたげて来て、結局は、また今までどうりの書き方に戻すことにしました。


 本当に面倒臭くて、面倒臭くて、どうしようもないよ!

 とにかく君達は、どうしてそこまで僕のことを邪魔してくれるのか!

 せっかくやっと理想の女性にめぐり逢えたというのに、君達はその娘に手を回して、自分の悪口をさんざんほざきあそばしたみたいだね!


    二十四回





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