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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記22回

二十二回



 その人が……、その人が、まったく偶然にも、その時、出くわしたのです。

 アァ~、あの時の感激は一生忘れられるものではありませんよ。


 その人は、よく良く見ると、自分が昔、スナックの娘と失恋をした、その娘に感じがよく似ているのです。

 それに顔はといえば、その娘以上に美しくて――


 アァ~、しかし、その人は、どうも売れ残り寸前の自分よりも歳が上か、あまり違いはしないように思えたのです。

 いくら美しくて、モタイ殿と同じぐらいに心(恋心)が揺れ動かされるといってもーー

 果たして一緒になって上手くいくだけのバランス(歳の差のバランス)が均衡しているのだろうかと、戸惑ったのです。


 しかしあまりにも美しくて――

 その上、ありったけの勇気を奮い立たせて、声をかけてみると、意外に何の気兼ねもなく、話しがスムーズに進展するのです。

 まったく初めて口をきく人と、こうも気兼ねなくしゃべれるなんて、本当に感激でした。


(チヨッと、文章がお粗末になっていますでしょうか? 何せ、アルコールが入っていて、意識がハッキリしていませんからね。

 今日の所は勘弁して下さいよ――ねっ)


 僕はちょっぴり、戸惑いながらも、それでも一生懸命、面白い冗談を言おうと気を使ったのです。

 そのぎこちない態度が、かえって功を奏したのでしょうか?


 彼女達もどうにか僕のことを好感持ってくれたみたいなのです。


 しかし途中、電車に乗った間、僕は少し耳が遠いので、よく彼女達の声が聞き取れなかったのです。だから彼女二人が話して笑っていても、僕には笑うことも出来ず、結局はその時、白けた感じになったのです。


「あの人は、自分からばっかり話しして、チッともウチ達の話しを聞こうとしないわ。自分勝手な人なのかしら……」という、相づちをしているような錯覚をしていたのです。

 そしてもう、俺もこれで終わりなのか? と、諦め加減でした。


 本当にこの聴力さえ正常であったら、もっともっと砕けて話せるというのに――

 この時も、その持って生まれた悪業によって自分の生きる喜びは半減してしまいました。

 それだけ諦めたせいか、電車を降りて、お互い別々の住居に別れるまで、特別、内容のある話しでもないけど、ありきたりの世間話しやら、適当に縫い合わせながら、結構、面白く過ごすことが出来ました。


「じや、またねっ」

「ウン、また明日――」


 という、お別れの挨拶をしてから、別れ別れになりました。


 結局、彼女達は、僕のことをどう感じとったのだろうか?

 僕にとっては、今年初めて、女の娘と喋った感激で一杯だったというのに、彼女達にしてみれば、普通ごくありふれた学会の同志ということで、つまんない話しに付き合ったのかもしれません。

 しかし――

 やはり、感激だったなァ~。


 この娘達とは、今後、どのような繋がりで結ばれるかもしれません。

 しかしたとえ彼氏、彼女の間柄にまで、発展せずとも、悲しい時、寂しい時など、自分の身内みたいに心配してくれて、優しく相談にのってくれるような仲間になりたいと思っています。


 アァ~、こうだから人生って面白いんですねっ。

 涙の河を渡れば、そこはバラの園だったということにもなるのです。

 とにかく何か――

 何らかの縁があって、彼女達の印象が強烈に僕の心に焼き付きました。


 早く、もう一度、彼女達と話し合ってみたいものだと、今度会う時を楽しみにしている今日この頃です――ハイ!


    二十二回




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