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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記2回


    二回


 二月十一日


 やはり顔、姿の良いのより、心の美しい娘が良いや!


この経験によって、つくづく思いました。これからは石野君みたいに、心根の優しい娘を探していこう。


 もう沢山だ! あんな女に身も心もボロクズみたいにされる恋を抱くことなど、てんでお話しにもならん!


これまで片思いをしてきた中では、一番最低の女だった。

終わってみてうしろを振り返ってみたらねっ!


だからもう振り返りはしないさ。こんな後味の悪い、片思いはもう沢山だ!


 文句を言いたいことは山ほどある。

しかし今さら言ったところで、何にもならない事だし、これで終わりにします。


 では、いよいよこれでおサラバです。

天女みたいに美しい顔をした、ドブネズミみたいに醜い心を持った女性ひとよ。

さようなら!



・・・・・・・・・・・・


「休日だとゆうのに、どこへも出掛けないで――、陰気な人ね!」と言われるかもしれませんが、今は、ただ楽しみたくない! ただそれだけなんです。


自己の確固とした信念の城を築いてから――

力を付けられるだけつけてから、僕は思う存分、広々とした世界へ羽ばたいて行こうと思っています。


 今、俺がおとなしく、縮こまっているように装っているのをーー

勘違いして取って、いきがっている奴よ!


そんなにデッケ~つらしとったら、その内、脳天をかち割ってやるからなっ!


アッー、トッ、トッ。つい舌が滑ってしまいました。


 僕は別に、彼等に危害を与えることなんかしやしません。

いくら憎たらしくても、同じく同胞ですからね。

彼等に罪業があったら、別に僕が手を下さなくても、天がその懲罰ちょうばつを与えてくれるでしょうからね。


だから僕は放っておきます。そして僕は、ひたすら彼等に負けないような、大いなる力をつける為に、昼夜精進していこうと思っています。


・・・・・・・・・・・・


 追伸


 モタイ殿へ


 今までさんざん、君のことをもてはやして、美辞麗句を並べ立てていたのに――

こんなことで、手のひらを返したように醜い言葉を吐いたり、ののしったりした事をお詫び致します。

どうしようもなかったんです。


 やはり好きだったから――

素晴らしかったから――

それを失った瞬間、僕の恋心は憎しみとなって爆発しただけなんです。


ロウソクの炎が消滅する寸前に、一瞬勢いよく燃えさかるように――

僕の恋心も、それが消滅する寸前に、その勢いが憎しみとなって燃え盛り――

そして消滅しただけなんです。


 やはり君のことを思い苦しんできた苦行は、僕に計り知れない功徳を授けてくれました。

女性(妻)を得るまでの心の(精神の)準備、物質的(金銭面、仕事面)な準備、性に対する確固とした信念の確立等を、くまなく思索し、いくらかなりとも整えることが出来ました。

その事だけを思いましても、やはり僕は君を知ったことによって、また、君とめぐり合ったことには、深い因縁があったのだと思います。


 今、やっと心の動揺がおさまって、今までの事を思い起こしますに――

やはり一言ひとことでは言い尽くしがたい思い出が、僕の宝物の蔵に収められています。

それをどうやって君に分からせたらいいのか?……

また今後、どのように処理していいのか?……

今の自分には分かりません。


当分は君への思い出を掘り起こしながら、何やら語っていくかも知れません。


 とにかくその後、実際に会ってお話しはしませんでしたので、本当のお互いの人格や、人柄なんて分かるはずがありませんよ。


本当にもし付き合ってでもいられたなら、もっともっと確固とした愛の城が築かれたのかも知れません。


そのようなことも出来ず、終わってしまったことを、とても残念に思います。


これまでさんざん、ご迷惑かけたことを、ここに謝罪して、終わりにします。


  「サヨウナラ」


・・・・・・・・・・・・


 何も気兼ねする事は無い!


俺の信念は、彼等に劣りはしない。

だから彼等の真ん中を堂々とまかり通る!


 今は君の為に、彼等から笑い者にされていることだろう。


「見ろ! 付き合いも文通も断られたんだってよ。あんな奴に、女が好きになるわけないじゃないか。当然のことだよ! 調子にのって意気がるからだよ! いい気味だよ!」などと――


何にも俺の気持ちの奥底を知らない者は、バカ笑いしている。

そのような姿を見ていると、こっちの方が可哀想で笑い飛ばしたくなるよ。


「ウフフ、フフフ、アハハッ」とね。


 今に分かるさ!

俺の生き方の偉大さが!

そして彼等が俺の足元にひざまづく日が来ることを――

それを思うと、とても愉快だ! 実に愉快だ!


 本当は、そのような自信の一欠片ひとかけらもないのだけど――

しかし今の自分には、このまま負けて引き下がりたくない。

だからこれからも彼等と競っていく為に、このような宣言を一応したのである。


これが現実のこととなる日が本当に訪れるかどうか? ……

今は分からない。


 今の自分は(これからの自分は)、ただそれを目標として、これから精進していきたいと思っています。

心ある者はどうか、この哀れな一凡夫の情熱に応援して下さいねっ。


 負けてたまるか! あんな表面的うわべだけの体裁屋ていさいやに、誰が負けるか!

格が違うんだよ! ケタが違うんだよ! 考えの深さが違うんだよ。


 マァ~、その事もいずれ彼等にも分かると思うから、今日のところは、これまでにしておきます。


・・・・・・・・・・・・


 サァ~! しばらくは別に予定もない事だし、信仰の面に精進していくか!

その面での著書を読みふけっていく内に、やはりこの教え(法)こそ、自分がこれまで求めてきた人生の難問、目的、生死の謎を解決してくれることを確信してきました。


 まだ本格的に没頭できるまで、情熱は湧いてきていませんが――

しかし必ずいつかは、心底からそれに魅せられて没頭する日が訪れると思います。

それまでは、やはりただの一凡夫の頭脳しか持ち合わせていない、浅はかな人間だし、色々道草をくいながらいくものと思います。

それでも僕は必ず行き着きます。

この教えしか、この信仰しか、僕の心を満足させ得るものはないと思うからね。


 何にも知らない者は、僕がこのようなことをやり始めたことを


「いよいよ奴も気が狂ったか! バカな奴だ!」などと、あざ笑っていることでしょうね。

しかしもう僕は、そのようなことで信念がグラつくようなことはないのです。

返って「奴等の方こそ、このような素晴らしい境涯を知らなくて、可哀想だなぁ~」っと

優越感にひたりながら、あざけり笑い返すことが出来るのです。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 細田君はモタイ殿と違って、わがままじゃない。

自分がイヤだと思っている者にも、自分の気持ちをおさえて真心を示してくれる娘だ。

現代の娘に欠けているものを持っている。


 ただ楽しみ、はしゃぎ回ることしか求めない奴等には、この真心の尊さ、大切さなんか分からないだろう。


本当は僕も、そのような心を求めているのです。

そのような心を持っている女性ひとに、今までただ一人、めぐり逢えました。

しかしその女性ひとはすでに夫の居る身だったし、僕は辛いながらも、諦めなければならなかったのです。

その真心、その気遣い、純粋さ、素晴らしさ、素直さ……


それはその心に触れた者にしか分からないことです。

アァ~、早く巡り会いたい! そのような心を持った娘に!


    二回




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