ある日の日記17回
十七回
どうしてなのか?――
現実の世界にあっては、まったく顔も見合わせず、話もせず、会釈の一つもしない間柄だというのに――
その現実の状態を下敷きにして考えてみると、何とも奇妙な執着心だと思います。
本当に君達は何者なのか? 本当に来ているのか? 本当に君達の会話、そのままのことが聞こえているのか?――
まっ~~たく、何のあてもありませんし、それでも座談会が終わったら、他の人達との話し合いもロクスポ(まともに)せずに失礼して飛んで帰って来るのです。
本当にこれ以上のバカ者が、世界中のどこにおりますでしょうか?
まったく自分ながら、呆れてものも言えんばい!
もうやっぱり、よそうかな~。
しかしやっぱり何とかして――
アァ~、こんなことを考えていると、頭の中が分解しそうになるのです。
それでも考えがまとまらないので、書くしかないと思い、その前に、勤行をすませようと思って焦ってやるのです。
このような不真面目な態度(気持ち)で、御本尊様に向かっても、チッとも僕の心は開眼しないのですよ――まったく……
お題目をあげている内にも、君たちの視線や、ささやき声や、クスクス笑っている声が聞こえてきて、真から没頭できないので弱っています。
それを忘れようと、腹に力を入れて、我武者羅に没頭しようとすると、ついお腹に力が入りすぎてオナラが出てくるし、それを聞いて君達が大声で笑っているのをみると、自分まで吹き出しそうになって――
もうどうにもなりません。
忘れよう忘れようとしても、こらえよう堪えようとしても、そうすればするほど、吹き出しそうになって――
もうお題目どころではなくなるのです。
「ウ~~ッ、ム~~ッ、プフフ、ウッフッフ――」
もうついには、顔まで歪むほどに僕の心は茶沸かして――
「もうやってられんバイ、勝手にせ~~ちゅぅんじゃ~」
と、つい不貞腐れてきます。
そのような訳で、もうとても君達が見ているという意識を離れられない間は、真から勤行にも没頭出来ず――
従って形だけあげても、何の意味もなくなるのです。
どうか、もう本当に寮に来て、寝るまで監視することだけは勘弁して下さいよ。
とても自分のペースでやれませんし――
だからサァ~
これからはこの日記だけの交流にしましょうよ。
お願いします!
それに、もうモタイ殿は、毎晩、毎晩、彼氏と楽しい夢の中を飛び回っているのでしょう?
今朝、彼氏が――
アァ~、奴もまったく情緒もロマンチックさもない男だなぁ~。
ぬけぬけと僕の前で見せびらかすようにさ~。
「アァ~、眠くてしょうがないよ。この頃は、早く起きれなくてなぁ~。夜遅くなる仕事をしてるからよ~」
こんなことを言いほざくのですよ~。
もう僕はバカバカしくなって、バカバカしくなって、クソ喰らえだ!
と、彼が見せびらかすように言う言葉に、鼻汁を塗りつけてプイッとなって、会社に出かけたのです。
「アァ~、今日もいい天気だなぁ~。空気もうまいし、ハリキッて仕事をバリバリやるか!」などと、自分の心の空虚さとは裏腹に嘘ぶいて――
僕はいつもの動物園の檻の中で、鼻クソまるめてマンキンチョンじゃないが、オナラをこき、不貞腐れて、また、空想の世界へとのめり込んでいくのです。
アァ~、もうとうとう完全に不貞腐れてしまいましたね。
本当に奴も頭の中は空っぽバイ。あれじゃ、モタイ殿の良さなんて何も分からん。
猫に小判バイ。本当にモタイじゃないが、モッタイなかニャ~。
もうよそう。愚痴を言うなんて、男らしくなかぞ!
オハンは九州男児じゃろが。
たかがあんな小娘の一人や二人、失うたからちゅぅて、なんてことなかじゃろが!
女なんて世の中に腐るほど居~。
だからもうこれで終わりたい!
サヨウナラ~~!
十七回




