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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記11回

    十一回


 お金持ちの坊ちゃん達が、好きなものを買い放題に、親に甘えている姿を見ると、ジッと――

木の陰に隠れて、うらやましいむ目で見つめていました。

自分もあれが欲しいんだ。買ってもらって、僕も皆と共に遊び回りたいんだと思いました。


 しかし、その辛い気持ちをお袋に言えば、余計にお袋が辛い思いをするというので――

僕はジッと口を閉ざして我慢しているしかなかったのです。


 そういった経験が豊かな生活を営めるようになるまで、どれだけ繰り返されたことか――

そのような頑なな性格が固まった後で、いくら生活が豊かになったとしても、それはとても治るものではなかったのです。


自分が良い目を見る、欲しいものを欲しいと言えない――

また、人がお情をかけて、自分に好意を示してくれても、つい遠慮してしまうのです。


 この話しを続けて良いものだろうか?……


 彼等は、またこのように言っている自分を見ては


「また、同情を買ってもらおうとしてやがる。イヤな奴だ」とか――


「藤田さんは、どうしてあんなつまらないことを、わざわざ時間をさいて書いてるんだろう? あんなことを言ってもモタイさんに分かるはずがないというのに、バカな人だよ!」――と。


 たとえ彼女が理解も出来ないというんだったら、それでも構わないのです。

こんなことも分からない女性ひとだったら、こちらから願い下げにしますよ。


 ただ、今は、彼女一人に語っているんじゃないんです。

誰かに――

一人でも自分の心を理解してくれる友が欲しいために、こういう話しをしているのです。

だからやはり先を続けることにしましょうか。


 そのような僕の真心を前提として、受け止めていないから、僕が女の人達に声もかけず、知らんぷりしている態度を見ては


「気取ってやがるんだ」とか

「自分がいい男とゆうことを、鼻にかけてるんだ」とか

「思い上がってるんだ」とか言うんです。


 確かに僕は、自分が他の人達より少しは良い男だとゆう自負心と、自惚れ心があります。

そのことが


「俺みたいに良い男だったら、たとえ女に愛想を使わなくても、向こうから近ずいて来るさ! だから今は、そんなに素知らぬ顔をして、相手にされていなくても、自分が一旦愛想を使ったら、すぐに十人、百人のガールフレンドは集まるんだ。

だから、今、まったく相手にされない辛さを味あわされていても、また、オツなもんさ! いつかこの心の曇りが晴れて、おべっかいも使えるようになった時、うるさいほど女性が群がるようになっては、この時のことを懐かしく思い出せるようになるだろう」という楽観的な気持ちでいるのです。


 しかしそれは、先のことを思っての心構えを言ったのであって――、

やはり今の、誰一人として相手にしてくれない辛さというものは、やはり辛いものなんです。


 しかしこうして、あえて自分の柄にもない苦しみを味あわされることによって、本当に器量も、美ぼうもなくて、異性から相手にされていない人達の苦しみというものが、多少なりとも理解出来てきますし――

従って、そうゆう人達への、思いやる心とか、慈悲心とかいうものも、豊かに実りつつあるのです。


 このことを聞くだけでも、僕の生き方(やり方)というものが、ケタ外れに偉大であるということがお分りになることでしょう。


「「アットットッ」」、これは冗談ですよ。


 ただここで、自分が言いたいことは、やはり良い男で、皆から好かれる器量を持っているとしても、ただそうゆう可哀想な人達の事も思いやらないで、自分だけ好かれることに有頂天になってほしくはないということです。


 アァ~、これは彼のやり方(態度)と真っ向から対立するものであるから、これ以上、執拗には言いたくありません。

僕にもいづれこういった他の者達のことを気遣う心や遠慮深さが和らいできて、

少しずつ君達(女性達)から親しみを抱かれるようになってくると思います。

たとえその日が訪れた時にも、僕はこの辛い心の旅によって経験し築いてきた真心というものを、大事にとっておこうと思うのです

これが僕の生き方の根本姿勢である、苦(の経験)を楽に転じていく方針なのです。


 アァ~、もう話すのが面倒臭くなって来……


「バカ! 本当に面倒臭がりやねッ。もっと真面目にやれっ!」


という叱責の雨が降ってくる思いですが――

今日のところは、本当にもう書く気力が無くなってきましたので、残りのことは後日に据え置くことにします。


    十一回




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