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一滴の波紋【原文】2巻の1  作者: 藤田ユキト
一滴の波紋【原文】2の2
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ある日の日記1回

このドラマは、あるメルマガスタンドで、週2回、月に8回を配信しています。

それを圧縮して、月に2回、投稿していこうかと思っています。

宜しくお願いします。


    一回



 「「アァ―」」


 口を開いてよろしいでしょうか?


この度、失恋をいたしまして、僕の語り相手が居なくなったのです。

だから君を今後の話し相手として選んでよろしいでしようか?

イヤだと言われましても、もう僕は決めてしまったのです。

自分勝手に話したいことを、勝手に、君に話していこうと思います。

以後、面体めんていよろしゅう、おたの~申します。

ハイ。



 幼馴染の彼氏が居るといっても、まだその男性ひとと一緒になる約束をしている訳じゃないんでしょう?


今後、どのようなキッカケで、誰と一緒になるか?

まだハッキリ決めていないんでしょう?


だからこの度、僕も君のフィアンセ?に立候補させて頂きます。



 鶏頂山けいちょうざんへスキーに行った時の思い出を、今さらながら思い起こします。


僕は別に付き添いで、はたから君の姿を拝見させてもらっている身でしたが――

それでも君と一緒に、話を聞いたり、卓球をしたりしていた、楽しいアルバムをめくっています。


 僕は別にいい格好も見せられず、話しもしなかったので

君の方としては、何にも僕のことを思い出のアルバムに残していないかもしれません。


しかし、それでも良いんです。

先の日記で、モタイ殿のあとがまの娘が見つかったと言っていた娘が、君だったのです。

そして細田君と会って、話しを聞き――

もう幼馴染の彼氏が居ることを聞いて、一旦諦めていたのです。

君のことを ――


そして今さら僕のような者が、押しかけても相手にもしてくれないと分かっている君を――

今後の片想いの彼女に選びます。


 僕はただこの日記の中で愛を語っていくだけだし

現実の世界では、何も君にアタックしないかも知れません。

それで僕が君のことを、今後慕っていくことを、まったく気づきもしないかも知れません。


 しかしそれでも良いんです。

今は誰も話し相手がいなくなって、寂しいことだし

ひとまず、君に語り掛けていこうと思っています。


 本当はホノカな恋心がパチパチと燃え上がりつつあるのです。

それが今後どこまで燃え広がるのか?――知れません!

しかしとにかく燃やしていきましょうか――



 幻の恋人――細田さんへ

石野君には今、他に男性が関わりあっていて忙しいようだから、しばらくは彼女のことを言うのはよすことにします。

本当は、この二人とも同じような性格みたいで、好きであることは同じくらいなんですが――

話し相手として、上手くいきそうなのは、向こうの彼女みたいな気がしますので、一応彼女に的をしぼって行くことにします。


 本当は、ここしばらくの間――

彼女が僕のことを好きになってきていて、少し気があるということを風の便りに聞いていたのです。


「いままで、ウチが本当に探し求めていた男性像を、あの人の中に見出したの!」


――などと言って、何とかして付き合いたい(一度話したい)と言っているように聞いていたのです。

その気持ちが、どれくらいのものなのかは分かりませんが――

それを胸の中に秘めていながら、知らんぷりして――

七日、八日の鶏頂山けいちょうざん、スキー旅館で、行動を共にしたのです。


 深川と僕と、君と話しをしたこと――

そして卓球をしたこと。

この間に、僕の恋心はハッキリと芽生え(めばえ)始めたのです。


 しかし、話しもまったくしないし、卓球の時には無様ぶざまな負け方ばかりして、それまでの恋心も半ば冷えきったのではないか? という懸念をして――

僕は急に後悔の念にかられていたのです。


 もっと自分の心を素直に打ち明かして、僕も「本当は好きなんだよ! 君のその素直さが、どうしようもなく好きなんだよ!」と言えば良かったのです。


また、卓球においても、もっと真剣になって、カッコ良い所を見せていたら、まだ君の心も完全に冷えきらなかったかもしれません。


 しかし、それも事が済んでしまってからでは、後の祭りですね!

僕は後悔しました。


「アァ~、せっかくここまで彼女の心を引きつけていたとゆうのに。これでもうおしまいになったのか?」と――

ショボーンとなりました。

その後は明日(あくる日)、八日にスキーをしに行っても、まったく気乗りがせず、

口をつぐんだまま寂しい思いで一杯だったのです。


 君や、他の娘達が、僕のことをどう受け止めたのか?――は、知りません。

しかし自分勝手に感じたことをチョッピりお話しましょうか……

本当は恥ずかしいことなんです。

まさかこんなことはないだろうという空想をしていたのです。


「ものすごく可愛い顔をした人じゃないの」


「あの人があんなにハンサムな人だとは思わなかったわ。聞いてるのと見るのとでは大きな違いじゃないの。ステキね!」


 卓球をし終わった後、僕が無様な恥ずかしい姿をさらけ出して、悲しんでいても


「他の二人が、いくらあんなにはしゃいでいても、不思議と黙りこくっていた藤田さんの面影ばかり浮かんでくるのよ。やっぱりウチ、あの人のことが好きなのかしら?

口数は少ないけど、ウチ、ポツ~ンと一人で居る人が好きなのよ。

ウチの心をクスグルみたいに、あの人、ウチのことを気遣ってくれてたのよ!

ウチがヘタだからって、自分もわざとヘタにやって、うちの気を楽にしようとしたり、深川さんと話しをしていた時でも、ウチが少し窮屈になって来たとゆうことを察したら、寝そべって、ウチの気詰まりを和らげようとしたり。

あの人、なんにも言わなかったけど、裏でものすごくウチのことを気遣ってくれていたのよ。

ウチ、そんな優しい人が好きなのよ!」


……などと言って――

僕がもうダメになっただろうと嘆いている裏で


「ウチ、かえってあの人が好きになってきたわ。深川さん、ウチに彼氏が居るということを、しょっちゅう口にして、困ったわ。

あれで藤田さんが、ウチのことを諦めてしまっていたら、どうしようかしら。

ウチ、別に今の彼氏と一緒になるなんて考えてないのよ!

藤田さんとだったら、付き合っても良いと思っていたのに、どうなったかしら?……」


――そんな事を空想しながら、その旅は終わってしまいました。


 そして月曜日、火曜日と、彼女がどのような気持ちの変化があったのか? も、自分勝手に推測しました。

どんなことかって?――

その事は内緒にしときましょうか?

でも、一言、言っておくことにしましょう。


「藤田さんって人は、自分の相棒が好きだと思っていたら、遠慮して、自分は引き下がる方なの。だから細田さんとは付き合わないと思うわ」


……そんなウワサを聞いて、僕もそう言われてみたら、そのような気もするし――

相棒のことを思ったら、やはり引き下がらなければならないかなッ? と気をもんだのです。

そして今日、モタイ殿がこうゆう手紙を出したとゆうことを聞いて


「アァ~、良かったわ! 藤田さんには悪いけど、ウチ、こうなって嬉しいわ。これでウチも藤田さんと付き合えるようになったんですもんねっ!」


 などと、僕への恋心をあらわにしてきたような気がしたのです。

しかしそれも


「今、ウチ達は藤田さんに女性を近ずけないようにしているのよ。藤田さんの方から言ってくるまで、ウチ達、あの人のことを知らんぷりしているのよ。

だって、やはり男なら女に恋を語る時には、チャンと自分の口から言えるようでなくちゃねェ~。

あの人がそう出来るようになるまで、絶対にあの人に声を掛けちゃダメよ! 分かったわね!」


 などと言われて、またもや僕の恋心も、実りそうもなくなりました。

そんな事を言われては、彼女としても、自分から打ち明けることも出来ないでしょうからねッ。


    一回



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