第6話
次の日になり、朝食を食べて訓練場に向かい、着くとそこにはティファの他に何人か鎧をきた兵士の人がいた。 数えると11人いて俺たちと人数が同じだった。
「今から一週間ここで訓練を国の兵士を使ってマンツーマンで行います。その後ダンジョンに行きレベル上げをしたいと思います。」
それを聞くと兵士たちが移動し始め、
「俺がお前の訓練の相手をするカイだ。よろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いします!」
カイは俺と軽く話したあと、腰の辺りを見てきて、
「それがお前の武器か?木でできてるじゃねえか。」
「いえ、この木の部分が鞘になっていて抜けるんです。」
抜いてみせると、カイは初めて見た武器に驚いていた。
「そんな武器もあるんだなあ。」
「俺たちの世界ではこの武器を刀っていうんですよ。」
「刀っていうのか。まあいっちょ打ち合ってみるか!」
二人は打ち合い始めると似合わないほど真剣な顔になり、時間がたつのを忘れ打ち合い続けた。
(この武器は力で斬るというより速さで斬るようだな。受けるときも真正面からでなく横で受けて受け流してやがる。意外と使い勝手のいい武器なんだな。)
(最初は押してたのに慣れられたとたんに攻められなくなった。これが長年兵士をやってた経験の差と力量の差なのかね。)
終わったあとでもぴんぴんしているカイと違って俺は大の字でぶっ倒れていた。
「お前結構できるじゃねえか!ステータスが回りと比べて低いと聞いていたが。」
「これはカイさんが刀に慣れていなかっただけで」
「今度からそれ禁止な」
「え?」
「わざわざ敬語で話さなくていいって言ってんだよ。」
「わかり、いや、わかったよカイ」
「よし!それでいい。じゃあもう一回打ち合うぞ」
「よしきた!次は勝ってやる!」
その後も打ち合い続けたが、俺は一度もカイに勝つことなくその日の訓練は終わった。生徒は誰一人兵士の人に勝てなかった。
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翌朝早く起きてしまった俺はせめて訓練終了後に倒れないようにしたいと思い、訓練場にいくと、兵士の人が自主訓練をしていた。その中にカイもいた。
(これは勝てないわけだ。)
その光景を見た俺は勝てない理由が理解できてしまった。訓練場に降りるとカイが声をかける前に気づいた。
「あれ?どうしたんだよ刀哉、こんな朝っぱらから。」
「早く目が覚めたもんだから少しでも訓練をと。」
「意外だな。自主的にやらなそうなのにな。」
「それはお互い様だろ。訓練場に誰もいないと思って来たのに。」
「なんだ?見られちゃまずいのか?」
「いやぁ、昨日カイとやったおかげで抜き身のまま斬るのはいいんだけど、鞘におさめたまま使う抜刀術ってのがあって、それは初めてやるから見られたくないんだよ。」
「いいじゃねえかそんなの気にしなくても。で、それはどういう技なんだ?」
「鞘に入れたままの刀を抜き放つ動作で相手を斬るんだよ。鞘に引っかけることによってタメができて抜き身のときより早く振ることができる。」
「そんな技まであるんだな。意外と奥が深いじゃん、刀って。それよか早く見せてくれよ。その抜刀術ってやつを。」
しぶしぶ俺は頷き、腰をおとすとまっすぐ前を向き刀を横にし、抜き放つ。
昨日とは違う空気を斬る音がした。それなりにはいったようだ。
(◯斬り抜刀斎の構えを真似たらうまくいったな。)
「すげえ速いじゃん!刀哉、これ使いもんになるんじゃね?」
「いや、抜刀術って当たらなかったり、防がれたりすると隙だらけになるからそのときの対応策も考えておかないと。」
その後カイと打ち合ったり、抜刀術の対応策を考えていると朝食の時間になり、いつもの部屋に向かっていった。
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扉を開けて中に入るといるのは康久だけだった。
「お前どこに行ってたんだよ。部屋に見に行ったら誰もいないし。」
「いやぁ、すまんすまん。たまたま早起きしたもんで訓練場に行って刀の練習してたんだよ。」
「もし練習した理由が俺たちとの差なんだってんなら、やんなくていいぞ。」
「ちげえよ。まあそれもすこしはあるけど、俺は自分の身は自分で守れるようにしたいんだよ。ここは俺たちが元いた世界と違って何が起こるか分からねえからな。」
「それならいいが...」
刀哉と康久が話していると着々と入ってきて、朝食を皆でとったあと朝、部屋にいなかったことを美優と奏に叱られた。
その後の訓練は朝と同様にカイとやった。
「おい刀哉、さっきの抜刀術俺に向かってうってみろよ!」
「やだよ。お前がうまく防げなかったら死にはせずとも、軽くないけがするじゃん。」
「いいからやってこいって絶対に防いでみせるから。」
「そこまで言うならやってやるからな!」
俺は腰をおとし抜刀術の構えをとり、抜き放った。それと同時にカイは刀に向かって剣をふり下ろしてきた。
(ちょ!?抜刀術に合わせてふり下ろしてきやがった!)
とっさに鞘を抜き、刀と鞘で受け流す。
「あ、危なかったー。でもお前よく刀に合わせられたな。」
「だって、抜こうとするとき前足に体重がかかるからそんときを狙ったんだよ。ってかあの対応とっさにしてはよかったんじゃね」
「鞘も使うってのはいいかもな。攻撃のバリエーションも増えるし。」
「じゃあ鞘も使って打ち合うぞ!」
鞘をまぜた攻撃によって何度かカイに攻撃を当てることができた。
「でもこれ魔物相手に効くのか?」
「あっ!」
「効かねえのか...今日の練習の半分は無意味だったのか」
その日の訓練が終わり、こんなことを続けているうちに日が経ちダンジョンにいく日になった。
お読みいただきありがとうごさいます!
書き溜めが終わってしまったので投稿ペースが落ちます。二、三日に一本だせるような頑張ります!