第5話
俺は落ち込んでいた。自分のステータスの低さに。
ティファにステータスを見せたら戦闘系のステータスの低さよりそれ以外のステータスの高さに驚かれたが。
予想通り智輝は平均的に全ステータスが高く、美優の攻撃魔法特化のステータスとかそれ以外の人のステータスも普通に高いのだ。
(あぁーー、いいなあ。皆ちゃんとしたステータスで驚かれて。なんで俺だけこんなに低いんだ?確かヘパイストスは鍛冶の神様だからしょうがないかも知れないけど、鍛冶しかできないじゃん。一応刀は使えるけど...)
ティファが全員のステータスを確認し終えたあとなぜかこっちにやってきた。ステータスの低さで何か言われるんじゃないかと俺はビクビクしていると
「すみません。刀哉さんのスキルの中でよく分からないものがあったんですが、刀術と鍛冶ってなんですか?」
内心ほっとしていると、その言葉に俺は耳を疑った。
「え?この世界って刀っていう武器ないんですか?」
「そのカタナっていうのは何ですか?」
「刃が片方にだけついていて少しそりかえっている剣に似た武器です。」
「そのような武器は見たことがないですね。ではカジというのは?」
「その刀を作る技術です。金属を熱してうち鍛えて刀や鎧を作るんですよ。」
「異世界にはそんな技術があるんですね」
俺は気づいてしまった。一番気づいてはいけないことに
(あれ?俺なにもできねえじゃん!)
俺は自分の役立たずが確定したことに気付き絶望しながら皆がいるところに歩いていった。
「おいおい、刀哉大丈夫かよ。」
「康久、この世界に刀も鍛冶もないらしい...」
「え?ちょっと待て。もっかい言ってくれ。」
「だから!この世界に刀も鍛冶もないんだよ!」
康久は俺から目をそらしながら
「だ、大丈夫だろ!どうにかなるさ」
「それを目をそらさずにいいやがれ!」
「まぁまぁ、落ち着いてお兄ちゃん。」
美優に言われて俺はしぶしぶ引き下がると
「「私が刀哉(お兄ちゃん)を守るから大丈夫だよ」」
見事に奏と美優の言葉がハモった。案の定にらみ合いが始まってしまった。 こうなるとてをつけられない。
(せめて俺を間に挟まずにやってくれよ...)
俺は助けを求めて周りを見るが一向に助けてくれる気配がない。なぜなら助けの智輝がティファのところにいてここにいないからだ。そして遂には腕を抱きついてきて引っ張りあいになった。
「奏さんは回復魔法を使って皆を助けてあげてください。私が魔物と戦いながらお兄ちゃんを守るので。」
「うっ!?で、でもあなたも後衛だから守れないじゃない!」
「じゃあ、俺が守るからそれでいいd」
「あなた(康久さん)は黙ってて!」
康久の介入も意味なく撃沈し、珍しく落ち込んでいた。
しばらく続いていた口論はティファに呼ばれやっと終わったが腕は離してくれなかった。
「今から武器庫に武器を選びにいくので付いてきてください」
皆がティファに付いていったが、美優と奏が離れることはなかった。
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武器庫の前につきやっとフリーになった腕を回しながら待っていると武器庫の扉が開き中を覗くと大量の武器があった。
皆がそれぞれに合った武器を探しているなか俺だけはちがった。
(せめて刀に似ている武器何かあってくれ!)
散らかすように探しているなか着々と周りが武器を決め始めていた。焦っていた俺は遂に部屋の最奥まで来てしまっていた。
(あぁーー、やっぱりないかあー。)
諦めて俺は持ちやすかったショートソードを持って皆が集まっているところに行った。
「皆様、武器が決まったようですね。時間が時間ですし昼食をとったあとは自由時間にしますので休んでもいいですし、自分の武器を訓練場で確かめてみてもいいです。しかし明日から訓練が開始されますのでしっかりと休憩してください。」
最初に行った部屋に行き昼食をとった一同は各々行動し始めた。刀哉はと言えば、食事中に思い付いたこともあり即行動に移した。
「なあティファ、この城に廃材置き場とかない?」
「城の西側にありますが、どうかしたのですか?」
「いや、もしかしたらこのショートソードよりも俺に合うやつがあるかもしれないと思ってね。」
「わかりました。何か上から落ちてくるかもしれませんので気を付けてください。」
それを聞いた俺は自分がだせる最高速で廃材置き場に向かった。
(よし!これで俺に合った武器があれば万々歳だな。)
おかれていた折れたほうきや木製の箱が乱雑におかれていた。それでも俺は突き進む。
「もしかして俺期待しすぎてたかな...」
やみくもに探すがいいものが見つからず、途方にくれていたら折れたほうきの中に回りと比べ少し短い棒があった。
「ちょ!?これ木刀じゃん!」
俺は喜びすぎて箱を蹴ってしまうが気にせずに廃材置き場から出ると、
「やったー!!これで俺も戦える!」
満足した顔でティファに報告しようと向う。その途中で、訓練場からいつもの面々が出てきた。
「あれ?刀哉じゃん。お前今まで何してたんだよ?」
「ほんとだ、お兄ちゃんだ。で、てに持っているそれはなに?」
「これは木刀だ。」
「よくそんな物を見つけたね、刀哉くん。」
「廃材置き場に置いてあったんだよ。多分木の棒と間違えられたんじゃないか。」
「今まで探してた訳か。ちょっと持たせてくれない?」
「ん?あぁ、いいぞ。」
「ねえ、刀哉くん。ここにすき間が空いてるんだけど、これもしかしたら抜けるんじゃない?」
「え!?まじか!でも抜く前にティファに報告してくるわ。」
ティファを探してると先に声をかけられた。
「刀哉さん、いいものが見つかりましたか?」
「ちゃんと見つかりました。なので、このショートソードはお返しします。」
「はい。わかりました。」
俺はそういうと自分の部屋に戻っていった。
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部屋に入るとさっきの面々がいた。
「おい、刀哉早く抜いてみてくれよ!」
「早く見せてよ、刀哉」
皆にせがまれて抜くと片方に刃がついている刀だった。
「これ長ドスじゃん!かっけー!」
喜んでいると、横から
「俺にも持たせろ」
康久にとられ、長ドスは回されていった。全員一回ずつもって満足したのか部屋から出ていった。奏と美優を除いて。
「お前らもとっとと自分の部屋に戻れよ...」
俺は二人を見るが立つ気配がない。
「寝るまでお話してようよ、お兄ちゃん」
「そのまま今日みたいに一緒に寝るなら却下で。」
「さすがに今日はしないよー。奏さんも一緒に話したいよね?」
「もちろん」
(なんでこいつらはこんな時だけ仲がいいんだ...)
俺は呆れながらも夜まで三人でいろいろと話し、寝る前になったら二人を部屋まで送り、部屋に戻ったらすぐに眠りについた。
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