第2話
光に包まれた俺は閉じていた目を開けると仰向けに倒れていた。起き上がるとまだ誰も目をさましておらず、人数は11人であの時教室にいた人数と合っていた。自分が一番に起きたことにより落ち着きながら周りを見ると、金色の像が目に飛び込んできた。縦2メートル以上あるその像は女性の姿をしていて、性別関係なく見惚れてしまうほどに美しかった。
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少し時間が経ち全員が起きると自らの状況を確認しようと周りがざわざわと騒ぎ出した。俺は誰とも話さずに改めて部屋を観察した。壁は綺麗な石、多分大理石のようなものでできていると考えていいだろう。多分この部屋がある家?屋敷?の持ち主の位は高いと予想していると制服の袖をつかまれた感じがして、振り返ると康久と奏がいて、美優が俺の袖をつかんでいた。
「おぉー、お前らか。大丈夫か?」
「はぁ、なんで刀哉はそんなに冷静なの?ここがどこかわからないのに」
「そうだぞ刀哉。なんでお前はそんなに冷静なんだ?」
「いや、だって俺一番最初に起きて時間がたつからな」
「じゃあ、何か気づいたことない?」
「そうだな。この部屋が豪華すぎるというところぐらいかな。だから多分ここ俺たちの元いた世界じゃないな。こんな場所があるなら観光名所でなくても有名なはずだからな。俗に言う異世界ってやつだろうな。」
ずっと下を向いていた美優はもっともな質問をしてきた。
「ねえお兄ちゃん、私たちちゃんと帰れるのかな」
「さあな、でも床に魔方陣らしきものがあるし、意図的に俺たちをよびだしたんだろう。ならもしかしたら意図的に帰す手段もあるかもな。」
それを聞いた三人は安堵していた。
(まぁ元の世界で俺たちがどういう風になっているかによるよなあ。失踪っていうことになっているのか?それとも存在しないことになっているのか?今考えてもしょうがないことだけど)
俺は考えていたことを不安にさせないために口にださずにいると部屋にあった扉が開き一人の美少女と数人の全身鎧の騎士が数人入ってきた。
「ようこそ我が国アレイシア王国へ。召喚に応じてくださり感謝いたします、勇者様そして同郷の皆様。私はアレイシア王国第一王女ティファリシア・アレイシアともうします。ティファと呼んでください。こんな場所では落ち着いて話せないでしょう。さあこちらへ。」
言われた俺たちは智輝を先頭にティファに促され部屋を出て廊下を歩いていると多くの絵が飾られていた。
「ここです。中に椅子が並べてあるのでお座りください」
大きな扉を開き中にはいるとテレビでしか見たことがないような長い机があり、その両側に椅子が並べられていた。一番奥にはいかにも威厳があるような風貌の男性がいた。
「ようこそ勇者様と皆様。私がこの国の国王アルフォンス・アレイシアだ。そしてかってにこの世界に召喚してしまってすまなかった。この国の代表として謝罪させてもらう。」
国王様は椅子から立ち上がり頭を下げてきた。
やべえ王様が俺たちに頭を下げた!?周りからささやきが聞こえてきて、
「ふざけんな!!俺たちを元の世界に帰せよ!!」
一人がそういうと連鎖して
「そうだ!そうだ!」「私たちを帰してよ!」etc
皆が何を言っても王様は頭を上げなかった。
見かねた智輝は
「話を聞くだけ聞いてみよう。召喚した理由を聞いてみたいしね」
智輝の言葉に納得した皆は椅子に座った。するとやっと王様が頭をあげティファを見てうなずいた。
「それでは私から皆様が召喚された世界についてと理由をお話ししたいと思います。今この世界には.....」
話を聞いてみて要約してみるとこうだ。
・この世界には魔法があり、基本属性である火、水、風、土の四属性があり、その上の上位属性である炎、氷、雷、樹がある。そして特殊属性として光、闇、無があり、回復魔法や強化魔法もあるらしい。長ったらしい詠唱も必要ない。
・この世界には魔物がいる。そしてそれを倒してお金を稼ぐ冒険者がいる。
・この世界にはレベルが存在し、ステータスもある。
・この世界には人族、獣人族、精霊種、魔人族がいる。精霊種はエルフやドワーフの総称らしい。人口は精霊種が少し少なく、魔人族が他の種族より多い。基本能力にも差があり、右にいくにつれ強くなっていくらしい。
・魔人族が他の種族と敵対していて長年戦争をしている。
・魔人族は魔王がしきっていて昔召喚された勇者に封印されたが、魔人族が封印を解こうとしている。
「以上で説明がおわりです。質問はありますか?」
ほとんどが頭が混乱してしまって質問なんてできなかったが刀哉と智輝だけは違った。
「じゃあまずは僕から質問をさせてもらう。僕たちは元いた世界ではただの学生だったから魔物相手ですら戦えないとおもうのだけれどもその辺は大丈夫なのかい?」
「はい、大丈夫です。勇者様方がこちらの世界にくる際に魂が強化され、ステータスが上昇し、取得経験値が増え、そして世界から世界をわたることにより加護が与えられるからです。」
「よくわかった。ありがとう。あと僕たちは勇者様と呼ばれるのは慣れてないから名前で読んでくれないほしい。様付けもいらないから。僕は天谷智輝だこれからよろしくティファ。」
それを聞き順番に自己紹介を始めた。
智輝は皆が自己紹介し終えると自己紹介中に考えていた自分の考えを伝えた。
「こういう話なら僕は頼みを受けてもいいと思う。前回の勇者は魔王を倒すことに成功しているわけだし。」
この言葉を聞いた周りは
「智輝がそういうならやるか!」「智輝くんがやるなら!」etc
という言葉が出てきたが俺はそれを遮った。
「俺からも一つ質問がある。俺たちの存在は元の世界ではどういう風になっているんだ?」
その質問を聞いた周りは緊張感を抱きながらティファの次の言葉を待った。
「すみません。それはわかりません。こちらにはそれを確認する手段がないのです。」
それを聞いた俺は安堵した。
(よかったー。存在しないことになっているとかじゃなくて)
「それじゃあ皆頼みを聞くってことでいいかな」
智輝が言いながら周りを見ると皆が一様にうなずいていた。
「それではステータスは明日確認するとして、一人に一部屋用意されているのでその部屋で休憩していてください。」
俺たちは各部屋に案内された。
お読みいただきありがとうごさいます!