第1話
三人称を一人称に直して再投稿しました。
日本の普通の学校に通い普通に日常を過ごしていた自分には信じられないようなことがあった。普通の日常を過ごしていた自分にとってありえない非日常なことが起こり、いつもどおり過ごしていたらここまでハードな人生を送ることはなかっただろう。....(多分)
俺こと鍛芭刀哉は今、壁も天井もない真っ白な世界にいる。見えるものは半透明な自分の姿とずっと謝っている女性の姿だけだった。
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日曜日の夜。
明日から学校が始まると思っているとテンションが下がる。
「学校に行きたくねぇーー!今日がずっと続けばいいのになぁ~、はぁ」
俺は本日何度目かわからないためいきをはきながら、自分の理想を口に出してしまい、それがありえないと分かっていることが自分を絶望の淵に追い込んでいった。
「よし、もう寝よう!起きててもやることないしね。宿題?知らない子ですね(笑)」
俺はすぐにベッドの中にもぐった。
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チュンチュンチュン
「うぅーーん」
明るくなってきたことに気づいて目を開けたら、目に飛び込んできたものはカーテンの隙間から降り注ぐ太陽の光ではなく、妹のかかとだった。
「とっとと起きろーーーー!」
「ぐはぁ!?痛ぇーー!おい、美優殺すきか!?」
「大丈夫だよお兄ちゃん、お兄ちゃんはこんなことでは死なないから」
こいつはどこからそんな根拠のないことを言っていやがる。美優は、俺の一つ下の妹であり、同じ高校に通っている。俺なんかより成績がいいのに不思議なことがあるものだ。そして、こいつは学校で美少女ともてはやされている。こんな俺には乱暴なやつがもてはやされているとかありえねぇといつも思っていることを考えながらベッドから起き上がり学校に行く準備をしていると
「お母さんが早くお皿片付けたいから早く食べちゃってって言ってたよ。じゃあ私はもう学校に行くからね。遅刻しないでよ。」
美優が部屋を出ながら言ってきた。
「わかってるって。」
俺は軽く返すと、美優はそのまま家を出ていった。俺はいつもどおりに朝食を食べて学校に向かっていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「よっす!刀哉!」
「はぁ、なんでお前はそんなに元気なんだよ、康久。」
「なんでって?なんで?」
「俺に聞くなよ....」
こいつの名前は野田康久。身長は180もあり、俺と同じ帰宅部のくせに体格がいい。俺の幼なじみで小学校で知り合ってから一度もクラスが違ったことがない。腐れ縁とはこういうことのことを言うのだろう。
「いやぁ、だって俺にはわからねえから刀哉ならわかるかと。」
「俺はお前のなんなんだよ!」
そのまま、俺たちは他愛のないことを話ながら学校に向かって、教室に入ると席がほとんど埋まっていた。自分の席である窓側の一番後ろの席につき大きなあくびをしていると、一人の女子が近づいてきた。
「刀哉ったら学校にくるのがいつも遅い。もっと早く来てくれてもいいのに。」
「俺がいつ学校にきたっていいだろ。」
「私がはやくきてほしいの!」
もう一人の幼なじみの音無奏。身長は160ぐらいで胸もそこそこにあり、顔もよし、性格もよしときた美少女である。うちの母さんと奏のお母さんが同級生で、仲がよかったため俺と奏は赤ん坊のときから遊んでいたらしい。けどなぜか美優と仲がよくない。
「なら、明日から私が刀哉を起こしにいってあげよう!」
奏がさらりと爆弾発言をしてしまい、俺はクラスの男子全員からにらまれてしまった。
「い、いや、大丈夫だから。いつも美優に起こしてもらっt」
今度は俺が爆弾発言をしてしまった。しかも一番落としてはいけない人の前で
「ねえ、刀哉今のはどういうことなのかな?ねえ?」
「え、いや、ちょっと...」
俺には今奏の周りに黒いオーラみたいなものが見える。さっきまでこっちをにらんでいた男子共は速攻で目をそらし、会話にもどっていった。
(そこで目をそらすな!誰か俺を助けてくれ!)
すると、一人の男子がこっちに歩いてきた。
「奏、年頃の男女が彼氏彼女でもないのに、起こしに行ってあげるなんて言っちゃダメだ。ましてや妹さんに起こされている刀哉くんのところなんてね。」
「か、か、か、彼氏ぃ!?」
奏に声をかけたのは天谷智輝。クラスのリーダー的存在である。文武両道でイケメンで正義感も高く皆に優しいため女子の人気が高い。イケメンは滅びてしまえばいい!
そんな智輝がなぜか頭から煙を出している奏を連れてってくれて心の中で感謝していると交代で奏の親友である椎名梨華がこっちにやって来た。
「刀哉、奏がかわいそうよ。」
「ん?なんで?」
「はぁー、あんたの鈍さは筋金入りね。」
梨華はそう言い残して奏のところに戻っていった。そしていつの間にか隣にいた康久に梨華の言葉の意味を聞いたが、自分で考えろと言われ、朝のHRが始まるまで何のことか考えていたが俺には何一つわからなかった。
HRが終わり、いつもどおりの授業が始まって、いつもどおりいいとも悪いともいえない態度で授業を受けていき、昼休みになった。最後授業で寝てしまったためあくびをしながらカバンをあさると、弁当が入っていないことに気づく。
「あれ?俺弁当もってこなかったけ?」
何度探しても見つからず、うなだれていたところに
「あれ?刀哉お前弁当ねえの?」
「そうなんだよ。少しくれよ」
「え、やだよ」
「だよなあー」
俺たちは高校生だ。弁当を少しだけでもあげたら足りるわけがない。弁当一つでは足りないというやつもいる。予想通りの回答をもらい、再びうなだれていると
「なら、私の分けてあげようか?」
奏がありがたいことを言ってくれたがそんなことをすると周りの男子に何をされるかわかったもんじゃない。しかし、断れる状況ではないため困っていると
「刀哉ー!妹が来ているぞーー」
と聞こえてきたので、ドアの方を見ると美優がいた。美優が近づいてきて
「お兄ちゃん、忘れ物だよ」
美優が手渡ししてきたものを見てみると弁当だった。
「おぉ!助かったぞ美優」
俺が感謝していると奏が美優をにらんでいた。そして、美優もにらみ返していた。そこでふと疑問に思ったことがあり、このにらみ合いをとめるために美優に話しかけた。
「そういえば、お前俺よりも先に家を出たよな。それでなんで俺の弁当を持ってんだよ?」
「私が朝自分のとお兄ちゃんの弁当を両方持って登校したからにきまってるじゃん!」
なんで美優がそんなことをする必要があるのかあれこれ考えていると隣から朝よりも密度の濃い黒いオーラをだしながら歯ぎしりしている奏がいた。それを見て美優は勝ち誇ったような顔をしている。なぜかわからないという顔をしていると周りが呆れた顔をしてこちらを見ていた。
(なんなんだこいつら?まぁいいやほおっといて弁当食べちゃお)
包みをほどいてふたをとると弁当が光だした。いや、床が光だしたのだ。
お読みいただきありがとうごさいます!