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異端の書カルトラスト。  作者: シマリス
1/1

大地創出記。

【大地創出記】



大地は、球体である。


そんな迷信が、まかり通った時代 もあった。


大地はどこまでも、続く平面であ り、その平面に終わりはない。


大地は周りを海という水の器で覆 われている。


その海と呼ばれる水の向こうには 何もない世界が広がっている。


この世は大地と海から形成されて おり、その他を空と呼ぶ。


ところどころ、盛り上がっている 物を山、その間を谷と呼ぶ。


山から海へと流れる水の筋を河と 呼ぶ。


この世界は自分を中心として四方 に四キロの広がりがある。


その四キロ先の地平線もしくは、 水平線に到達した後は、そこを基 点として、更に四キロ四方が己の 世界となる。


このようにして永遠に地、もしく は海は続いている。


各サークル(世界)の中心には高い塔 が立っており、これを心眼のパラ ダイムと呼ぶ。


このパラダイムの頂きからは、こ の世の果てが見えると言われてい るが、これもまた迷信に過ぎない かも知れない。


夜空を見上げると星と呼ばれる煌 めくものが見えるが、これは空に 小さな穴が空いているものであ る。


古くからの伝承によると丸い球体 が宙に浮いていると言われている が、それは古典宇宙論理の枠内で の話だ。


目に見えない最も小さい物が、全 てを包含する。


最も大きい世界は、この最も小さ な心の内に閉じ込められたもので ある。


言い換えるならば、大宇宙と呼ば れるものは己の心の中にある世界 である。



【地板真実への挑戦。】



ポルトリカの港から船を出そう。


帆を張って順風に乗り沖合いを目 指す。


水平線の向こうは、きっと断崖絶 壁となっていて船は谷底へと落ち て行くと人々は口々に叫ぶ。


しかし、真実は行った者でなくて は分からない。


私は、自分の目で確かめたい。


水平線の辺りと、おぼしきところ まで来たが、やはり、永遠と水平 線が続いている。


私は、ここから最も近い心眼の塔 まで行き、そこから地の果て、も しくは海の果てを見たいと願っ た。


ソラクサラの岬へと船を繋ぎ徒歩 で心眼の塔パラダイムまでたどり 着いた。


螺旋状の階段が頂上まで伸びてい る。


しかし、塔の入り口にはガイドの うら若い制服姿の女性がカウン ターに立っていた。


頂上までは、クオンタムリープ量 子跳躍で行くことができる。 ドーム状の透明ボックスに入り一 瞬にして頂上まで着いた。


パラダイムから四方に視線を写す と、まるで霧で霞がかかって果て はないと分かった。


これは、自分自身の意識が届く範 囲が地の果て、もしくは海の果て であると語っていた。


世界の果てに視線を移すとこと で、そこが境界線となる。


世界に果てがあるのではなく、己 の意志が果てを定めるのである。


人々は時間の紙芝居の中で生きて いる。


一枚めくると、自分の人生の物語 が進んで行く。


あまりにも速い閃光の点滅は認識 できない。


同じように、あまりにも速い人生 の紙芝居をめくるスピードに人の 感覚はついてゆけないのである。

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