Long Long Ago ...
むかしむかし、樫の長老さえもちっぽけな木の芽だった頃のお話です。
ある大陸に、それはそれは見事な国がありました。
秋になれば、村々には金色に輝く海のような麦畑が茂るすばらしい大地を
賢く慈悲深い王様が治め、国中の人々は幸せに暮らしておりました。
ある時、そんな国をおもしろく思わない者たちが出てきました。
その者らは、嫉妬深く傲慢で、とてもとても強い獣でした。
獣らはその国の大地を蝗で覆い、空に硫黄を撒き散らし、海を塩の固まりにしてしまいました。
困った人々は、王様に相談します。
「王様、あの獣らを倒す方法はありませんか」
王様は言います。
「あの獣らの毛皮は剣より硬く、爪は鎧をバターのように切り裂いてしまった。あの獣らを倒す方法は、わたしにも分からない」
ほとほと困り果てた人々と王様は、最後に女神様に祈りました。
女神様とは、この大地を作り、人々を生み出したとても優しいお母様の様な神様です。
「女神様、女神様。私たちに、獣らを倒す方法をお授け下さい」
その願いを聞き届けた女神様は、お空の上で子供たちにそれぞれに宝物を授けて言いました。
「あの獣らを倒すのです」
勇敢な子供たちは快く引き受け、大地に降り立ちました。
そうして子供たちを見送った女神様のもとに、末の子供が遅れてやってきました。
「女神様、わたしも兄様姉様と一緒に大地に行きたいです」
ですが、宝物はすでに一つも残っていませんでしたから、末っ子を送り出せません。女神様は困ってしまいました。
「宝物が無ければ、あの獣らとは戦えないのです」
「それでも、何かお役に立てましょう。荷運びでも、この身を盾にすることだって出来ます」
けれど、女神様は大事な子供をそんな目には遭わせたくありませんでした。其処に、大地と海と空がやってきます。
「ならば、私たちが力を貸して上げましょう」
「獣らに、私たちも困っていたのです」
「力を合わせれば、きっと獣らも退治できるはずです」
それならば、と女神様は末っ子に緑の外套を授け、大地と空と海らと共に見送りました。
こうして、獣らは子供たちのお陰で、国から逃げて行きました。
これが、勇者様たちの伝説です。