見つかり、戦って(1)
前回のあらすじっぽいもの:露出狂扱い
その日の晩は、アキラが離れまで晩御飯を買いに行くことになった。せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。
だがその結果、翌日の朝……宿泊場を出ると同時、十三人ほどの気配が、彼ら三人を遠くから包囲するように見張っている状況が出来上がってしまっていた。
アキラでも分かるほどの、警戒する気配の密度。
間違いなく、昨日の黒いローブを纏った集団だろう。
「……これもまた、オレのせいだな……」
コガの気配察知はアキラ自身も認めている。そんな彼女がこの宿泊場に入るとき、大丈夫だと言ってくれた。にも関わらず、こうして出たところを待ち伏せされているということは……アキラが離れに晩御飯を買いに行った時以外、ここにいたことがバレることはあり得ないのだ。
「いえ、これは仕方のないこと」
申し訳なく思いながらボヤいたアキラに、コガは気にするなと視線をくれる。
「そもそも、彼らの気配に気付くこと自体が難しい。だから、離れにいくあなたを見つけられてしまったのは、単純に運がなかったとしかいえない。おそらく、人々の中に紛れ私たちの動向を探しているところを、偶然見つけられた。回避しようが無いこと。仕方が無い」
「……そう言ってもらえると、少しだけ心が楽になるな」
自分の頬が少し綻ぶのが分かる。
なんだかんだで昨日の「露出癖のレッテル貼り」の一件で晩御飯を共に出来るほど気兼ねがなくなり、こうして気遣いの言葉をかけてもらえたのだ。
完全に信頼された訳ではないのだろうが、少しでも信頼してくれた証が見れて、嬉しくないわけが無い。
だが、それとこれとは話が別。
むしろもしコガとナナ姫の二人で旅をしていたのなら、きっとコガが晩御飯を買いに行くことになり、彼らが捜索している気配に気付き、見つかることなく買い物を済ませられただろう。
だからこの結果は、自分が招いた出来事も当然。
押し付けられなかったからと、その甘えに身を置いてしまうのはいけないことだ。
「でもま、オレの責任であることも変わらない訳で……そうだな……ここら辺で、昨日の変態の汚名を返上しときますかね」
「戦うつもり?」
「本当はオレも、あんまり戦いたくはないけどさ……こうも逃げ場なかったら仕方ないかなって」
訊ねてきたコガにため息交じりに返して、人気の無い方向へと歩き出す。
その後を、コガもナナ姫もついてくる。
「って、なんでついてくるの?」
「ついていかない訳にはいかない。あなた一人離れたところで、彼らの標的は私たちから変わらない。むしろ、二人だけで取り残される方が危ない」
「宿屋に戻ってればいいのに」
「もう一度お金を払って部屋を取れって? それでもし、あなた一人になっても相手が襲ってこなかったらどうするつもり?」
むしろ、そうして別れてアキラが万一にも逃げた場合……あの男達が襲ってこなくなることを、コガは知っている。
相手の財力が底を突くのを待つのももちろんあるが、それ以上に、包囲することによるプレッシャーで精神的負担をかけながら、ジワジワと危機感を抱かせ、弱っていくのを待ち続ける。
相手はそういった輩なのだ。
時間がかかってでも確実性の高い手段を取ってくる。
間違いないと断言できることだった。
「それに、汚名を返上してくれるのなら、直接見てない訳にはいかない」
「……そりゃそっか」
不敵な笑みを浮かべたコガに、アキラは頼もしい笑みを返した。
「んじゃ、二人のことも守りながら、見事敵を撃退してみせるとするか」




