遊園地に入場
遊園地の受付で、チケットを見せる当一は、そのままゲートを通って中に入っていく。
「私が渡したチケットか……?」
リーシアは、じっ……と、自分の事を見つめる視線が背中に突き刺さるのを感じた。
「あれを渡してくれて感謝してるわ……」
その子はどうしてだか? リーシアの事を睨んでいる。
シェール達は、受付で遊園地の入口でチケットを出していた。
「二枚あったはずだな……」
その女の子から発せられるプレッシャーを感じながら、リーシアはぎこちなく女の子の方に振り向いた。
「私と一緒に入る?」
リーシアがその子に聞くと、その子は首を縦に振った。
この状況はどういう事だろうか……? それを知りたいと思うが、下手な聞き方をしても、ヘビが出てくるだけであろう。
そう考えながら、冷や汗が滲んでくるのを感じながら、リーシアはその子と一緒に遊園地に入っていった。
「ここに来るのは小学生の頃以来だな……」
当一は周りを見回しながら言う。
名もない地方の遊園地であるものの、アトラクションは、いいものが揃っている。
特大サイズの観覧車に、ジェットコースターも特大で、県内から多くの人が、それを目当てにやってくるくらいだ。
「人が多いわね……こんなに人が多いとゆっくり休むこともできないわよ……」
「休むって……お前、ここを何だと思っているんだ?」
当一が聞くのに、シェールは首をかしげて考え出した。
「なんか、ゆっくりとする事のできる、保養地みたいなものだって思っていたけど……」
「なぜ、そんな勘違いを……?」
当一が聞くが、シェールは頭をかしげて考え続けた。
「確か、リーシアが『休むのも必要』だとか言って、入場券を見せてきたからね」
「そういや、俺がお前に伝えたんだったな……」
リーシアの言う事を当一がそのまま伝えたのを思い出し、そう答えた。
「ついてこい。ここがどういう場所か? を教えてやるから」
そう言い、当一は足をあのジェットコースターに向けていった。
「いきなりジェットコースターに行くだと……」
喫茶店の席で、リーシアの隣に座る女の子が言った。
リーシアが魔法の鏡を使って当一達の様子を確認する。魔法で作った蝶を当一の背中に貼り付けてある。それで、二人の会話も聞くことができる。
一人であったら、注文したコーヒーでも飲み、ニヤニヤしながらその様子を眺めていたところだが、すぐ隣に座る女の子がギラギラした目でそれを見ているため、彼女から漏れてきているオーラを感じ、ゆっくりと見ている事ができなかった。
「あなたには、好きな子がいるって言っていたわね」
女の子に向けて言うリーシア。だがその子は何も答えずに、魔法の鏡を見つめていた。
「その相手って、当一なの?」
そうリーシアが言うと、ビクリと体をこわばらせた女の子は、リーシアに向けて言った。
「別に! 当一の事なんか気にしていない!」
「わかりやすすぎるわよ……」
明らかに、意識をしているのが分かる感じで言ってきた女の子。
「そういえば、最近ある女の子に稽古をつけてもらってるとか言って、ボロボロになって帰ってくるけど……」
「あれくらいでヘバるのは、あいつの稽古が足りないからだ。もっともっと鍛える必要があるな」
「なるほど……大体分かったわ」
そう言うリーシア。この子にビシバシと鍛えられているのだ。そう考えて、当一のケガの事を思い出した。
「もうちょっと手加減をしてあげないと、当一が体を壊すわよ。私も、最大限の治療はするけど、限度ってものがあるわ」
「そうだな……体を壊しては元も子も無いしな……」
それから、その子はじっ……と鏡を見つめる。
「ジェットコースタに乗るぞ」
順番待ちも、すでに終わっているシェール達は、ジェットコースタに乗り込んでいった。




