鈍感な当一
「どうかしら当一。今日のシェールちゃんは?」
そう言う祥子。
シェールの事を見た当一は、いつもの調子であった。
「何よ……」
そう言い、自分の事をジロジロみる当一の事を睨みつけるシェール。
「どうって言われてもな……」
そう言い、家の奥に入っていこうとする当一。
「朝メシまだなんだよ」
シェールの事なんて、まったく気にもかけずに、台所に向かっていった。
「いたっ!」
当一の後ろから、そう声が聞こえる。
振り返ってみると、シェールがリーシアの足を蹴っていたようで、リーシアはスネの部分の押さえてうずくまっていた。
「何で私を蹴るのよ……?」
「なんか、近くに蹴りやすそうな顔があったから」
「八つ当たりはやめなさい……」
リーシアとシェールの間で、そう会話がされているものの、どんな意味があるのか、全く分かっていない当一は、そのまま台所の方に向かっていった。
「当一……シェールちゃんを放っておく気?」
祥子がそう言うと、当一はピタリと足を止めた。
背中に悪寒を感じる当一。振り返ってみると、千円札を手に持っている祥子がいた。
「朝食は二人でどこかで食べてきなさい」
当一の前にそのお金を差し出すと、当一が受け取るのを見て、次の言葉を言った。
「二人とも、早くお出かけしなさいな」
祥子がそう言うと、当一はシェールの手を取って外へと出かけて行った。
「あれは、いったいなんなんだ?」
祥子がどうしてそこまで、シェールと一緒に外に出させたいのか? が、分からない当一は、祥子の今日の態度が、まったく理解できないでいた。
「さあ……私にも分からないわ……」
当一の顔も見ずに、言うシェール。
まったく当一とは逆のほうを向きながら言うシェールに、当一は、不審なものを見る目で、見つめた。
「お前、何か知っているのか?」
当一がそんな事をシェールに聞いてくる。
「知っているというか……」
そう言ったシェールは、思いっきり足を振り上げた。
「いってえ! 何すんだ!」
サンダルで靴を踏まれた当一は靴を押さえてうずくまる。
「自分で考えなさい!」
そう言いながら、シェールは先へと歩いて行ってしまった。




