次の日の朝
次の日、当一は朝にを覚ました。
時間は八時。シェールとの約束の時間まで、二時間もある。
二階の部屋から、一階に降りていこうとする当一だが、そこで、祥子から声をかけられた。
「とういちー。まだ降りてきてはいけませんよー」
自分が目を覚ましたのをどうやって知ったんだ? そう思い、目をパチクリとさせる当一だが、そんな事はいつもの事だ、祥子には何か、不思議な力でもあるようである。そう、当一は解釈をしている。
「何で?」
短く、そう答える当一。
「シェールちゃんがお着替えをしているからよ」
なんだそんな事か……別に降りていっても問題ない事のように思える。当一は、祥子の言葉を無視して、階段を降りようとすると、当一の背筋に悪寒が走った。
「だから、降りてこないでって言ってるでしょうー」
背中に感じた悪寒は祥子から放たれた、プレッシャーによるものである。
「当一には、出かけるときに見せてびっくりさせたいらしいわよー」
「そんな! 祥子さん! わたしは……」
シェールの声が、そう聞こえるが、祥子は構わずに話し続けた。
「楽しみにしていなさいー。シェールちゃん、すっごく可愛くなるから」
そう言う祥子の声を聞き、当一は、自分の部屋に戻った。
部屋のドアがコンコンと、鳴らされる。
「リーシアか?」
当一がそう言うと、ドアが開けられた。
「その通りよ」
ローブ姿のリーシアが部屋に入ってくる。
「私も締め出されちゃった。シェールが睨んでくるのよ……『よくも、こんな面倒な事を引き起こしてくれたわね』って……」
「そう言うわりには、随分楽しそうだな」
「いやいや、そんな……」と言いながらそれを否定してくるリーシアだが、随分と面白そうである。
「シェールが頑張って、おめかしをしているんだから、あなたも頑張らないといけないわよ」
そう言い、リーシアは当一のタンスを漁り始めた。
「いい感じのが無いわね。あなたは、服装に気を使った方がいいわよ」
そう言いながらも、リーシアは当一の服を選び始める。
「こんなのどうかしら?」
そう言い、当一に着せてみるリーシア。
「それとも、こんなのとか……」
そう言いながら、次々に当一に服を着せていった。
「まあ、こんなところかしらね?」
当一の服を決めるまで一時間かかっていた。
「こんなに時間をかけるのか……?」
リーシアが、当一の服を選ぶのに、黙って従っていた当一だが、そこで口を開く。
「だって、いいものが無いんだもの……」
ずっと、『あれでもないこれでもない』と選び続けるのに、当一はうんざりしていた。
服を選ぶなんて、もっとパッパとやる事ができないのだろうか? と、当一は思う。
「あなた、気を使わなすぎよ」
そう言いながら、リーシアは当一の部屋から出て行く。
「とういちー、降りてきてもいいわよー」
下の階から、そう祥子の声が聞こえてくるのに答えて、当一は、下階に降りていった。




