おとぎ話から
「少し気が晴れたわ……」
胸を焼く、妙な感覚についてそういったシェールは、木刀を持ち、庭から家の中に上がろうとしていた、その時自分の事を待っていたリーシアと出会った。
「少し、時間いいかしら?」
リーシアが言うと、シェールはソファーに座った。
「当一と仲良くしなくていいの?」
そう言うシェール。
「嫌味を言わないの……真面目な話よ」
そう言い、リーシアは一冊の本を開いた。
「エスカッションの事が書いてあるわ」
当一はエスカッションになる事ができた。
エスカッションを手に入れたものは、皆、曲げない信念を持っていたという。
「ラタは言ったわ。自分は心無き王になるって……」
ラタには一つの信念があったのだ。
「あなたはどんな王になりたいの?」
リーシアはシェールに聞いた。
「さっきは、たまたま当一がエスカッションになれたから良かったけど、次もエスカッションになれる保証はないのよ」
「その、信念ってのを見つければいいのね?」
「確証はないけどね。おとぎ話の内容だから」
「こら! そんな確証も根拠もないような話をしたの!」
シェールは言うがリーシアは、悪びれもせずに言う。
「私は信じるわよ。あなたには、強い心がある。強い信念を持ち、エスカッションを率いる、高潔な騎士になる資格は、十分にあると思うわ」
「よくも、そんな歯の浮くような事を……」
苦笑いをしたシェールだが、リーシアはシェールの両肩に手を置いた。
「本気……私はあなたに期待をしているわ」
リーシアはそう言い、カゴを持って外へと向かった。
「私みたいな者は、馬車馬のように、働くしか、生きる道がないのだけどね……あなたが羨ましいわ」
家を出る道すがら、リーシアはそうシェールに声をかけた。




