レイグネンでラタと戦う。4
だが、当一は竹刀を空に掲げ、ダイヤモンドドールの拳を受け止めようとする姿勢をした。
「あんた……私よりも弱いくせに……」
シェールは当一に向けて小さく言った。
これでは、一番情けないのは自分ではないか。
敵の強大さを見せつけられ、自分は動くことすらできない。
だというのに、自分よりも弱いはずの当一にかばわれ、当一は今でも先頭に立って自分の事を守ろうとしている。
「ふざけんじゃない……」
自分はこんなに弱かったのだろうか? 当一にまで庇われるほどの、腑抜けだったのだろうか? そう考えると、今の自分が情けなく思えてくる。
「ふざけんじゃないわよぉぉぉぉおおお!」
シェールが、大声でそう叫ぶ。
そうすると、当一の指のセイフティリングが光り始める。
秋成がそうしたように、当一が光りに包まれる。
「あれは……ドラゴンオブソードマウンテン……」
リーシアは言う。その昔、書物で見た、伝説の怪物にそっくりの姿だったのだ。
全長は十メートルはあり、首を上げた時の頭の高さは五メートルほどもある。
色は透き通るような青色。トカゲのようにして腹ばいになって歩く姿。そして、ウロコのある場所からは、長剣のように長く鋭い毛がびっしりと生えていた。
頭には、角のように一本の青みのかかった刀が伸び、口を開くと、サーベルの刃のような、鋭い歯が並んでいる。
ドラゴンオブソードマウンテンは、ダイヤモンドドールに襲いかかった。
トカゲのようにしてうねりながら走り、ダイヤモンドドールに襲いかかって引き倒した。
ドスン……と大きな音を響かせてダイヤモンドドールが地に伏せる。
馬乗りになったドラゴンオブソードマウンテンは、頭をダイヤモンドドールに叩きつけた。
ドラゴンオブソードマウンテンの鋭い角は折れ飛んだ。だがそれでも構わずにドラゴンオブソードマウンテンはダイヤモンドドールに頭を打ち付け続ける。
「そこまでです!」
ラタは、ドラゴンオブソードマウンテンに体当たりをする。そうすると、ドラゴンオブソードマウンテンは、ダイヤモンドドールの上から押し出された。
「秋成! 撤退します!」
そう言い、ラタはシェール達に背を向け街道の向こう側に走っていった。
ダイヤモンドドールは起き上がり、ラタ達の事を追っていく。
その姿を見た、ドラゴンオブソードマウンテンは、勝ち鬨を上げるようにして、奇声にも聞こえる大声で叫んだ。
「キィィィィエエエエエエエエ!」




