レイグネンでラタと戦う。2
シェールとリーシアは前方に敵がいるのを発見した。
一見、大柄な人間のように見えるシルエットだが、それはラタの着る、重厚な鎧のせいである。
ラタはシェール達に向けて大声で声をかけた。
「よく逃げずに来ましたねシェール。評価します」
ラタの後ろには、メイド服姿の銀髪で浅黒い肌をした少女。ノエリア。
そして、ラタのジェズルと思われる少年であった。秋成という名前のその少年は鎖を持ち、その鎖は一人の女の子の首輪につながっていた。
「その荷物は、横に置いておいてください」
ラタはその少年に言う。
「俺の出番は、まだ先だろう?」
ラタの言葉に対し、面倒そうにして言う秋成。
「いえ、今回は初っ端から全力でいきます。時間をかけて戦う相手でもありません」
ラタがそう言うと、秋成は鎖から手を離した。鎖に繋がれていた女の子は秋成達の後ろに向けて走っていった。
「秋成。早くしてください」
ラタから言われ、秋成はセイフティリングを掲げた。
セイフティリングは強く光り輝き、その光は秋成の事を包んだ。
「私のエスカッション。ダイヤモンドドールです!」
ラタが言うと、少しだけ口の端を釣り上げて自慢げにして笑った。
秋成の事を隠していた光が消えると、そこには透き通った体をした巨大な人型が現れた。
それは陽の光を浴びて七色に輝き、プリズムに光を通したかのようにして七色の層を作った。
「シェール・グスターク。あなたのことは知っています。あなたの力はそこらにうろついている参加者達と変わりません。特に戦力として必要があるとは思いませんね」
「何をダラダラしゃべって……」
ラタの言葉に、シェールがそう返すが、シェールの言葉は、すぐ横に叩きつけられたダイヤモンドドールの拳により途切れた。
土が舞い上げられ、衝撃で地面が揺れた。それにより言葉を失ったシェールは、無造作にダイヤモンドドールが拳で作った大穴を見た。
「これでも、加減をして打ったんだぜ。そんなに驚くことないだろう?」
ダイヤモンドドールから、そう声が聞こえてきた。表情は変わらないが、秋成の顔をニヤニヤしているのが、当一とシェールには感じられた。
あんな攻撃を受けたら、一発でペシャンコになる。背中に悪寒を感じながらシェールは後ろに後ずさった。
「ダラダラしゃべる? あなたこそ、ダラダラ喋るのに付き合う余裕なんてないはずですよ」
ジリジリ……と後ろに下がっていくシェールを見て、ラタは話を続けた。
「リーシア・ドーラー。あなたの力は私も認めていますよ。戦闘力では、高位に存在する力を持っています。その魔法の力で、私達と一緒に王を目指しましょう」
リーシアは、目を細めて、じっ……と、ラタの事を見た。
「そういう事は、私達を倒してから言ってちょうだい……」
シェールと一緒になって、ジリジリと後ろに下がるリーシアは言った。
「もう勝っているようなものだと思いますが?」
ラタの表情は変わらないが声には余裕の色があった。
「そう言うなら、さっさと終わらせましょうか……」
ダイヤモンドドールは、大きく拳を振り上げた。




