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模様替え
だが、今はレイグネンで見た光沢を持つ物質に壁が貼りかえられている。
「これを、全部一人でやったのか?」
「自分の研究室なんだし、自分で改装をしないとね。この柱なんか、かなり傷だらけでぼろぼろだったけど、綺麗になったでしょう?」
そう言って、リーシアは部屋の柱を見た。それは、当一と一美のたけくらべの跡が残っているはずの柱である。
「落書きや傷なんかがあったんで磨いて消したわ。そして、壁紙を貼り付けて完成よ」
つまり、一美との思い出の跡も消え去ってしまったという事である。
「思い出が……」
一人で落胆する当一であるが、リーシアはそれに小首をかしげただけで特に言及する事はなかった。
リーシアは煤けた体を掃い、話題を変えた。
「夕食の時間なのよね。祥子さんに頼まれた薬も、もうできているからついでに渡しましょう」
そう言い、リーシアはビンに入った黒々としたペースト状の液体を手に取った。見るからに胡散臭く、毒でも入っているんじゃないかと言えるような代物であった。
「それは何の薬なんだ?」
「腰痛の薬よ」
「それを飲むの!」
「腰に塗るのよ」
「バンテリンを買いなさい!」
リーシアは、当一が何でそんなに絶叫をしながら叫んでいるのか分かっていない様子であった。眉根を寄せて当一の事を見る。




