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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
エスカッション『紋章』
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紋章『エスカッション

 シェールは祥子と一緒に夕飯を作る手伝いをしていた。シェールとリーシア用の私服は先日の買い物で一通りそろい、祥子の部屋にしまってある。

 そこの後ろで、

「当一。もうすぐ夕飯ができあがるから、リーシアちゃんを呼んできてちょうだい」

 リーシアは天井裏にいるのだという。シェールは、今祥子の料理を手伝っているため、手がはなせない。


 天井裏へ行くには埃っぽい階段を登っていく必要があった。天井裏は、普段から物置として使われており、当一の小さな頃にはよく遊びに入ったものだ。

 一美と一緒に入り、柱を使って、たけくらべのために柱に傷をつけたはずだった。

『あれが残っているかどうか確認もしておこう』

 そう考えると、当一は少しだけ懐かしい気持ちになりながら天井裏に繋がる階段のドアを開けた。

 階段は綺麗に掃除をされていた。昨日までは、階段を踏みしめると埃が舞うくらいに、ぶ厚い埃が積もっていたはずである。リーシアが掃除をしたのだろう。

「リーシア! 降りて来い。晩飯の時間だぞ!」


 ドカン!


 当一がそう言うと同時に、轟音が響き、屋根裏部屋が黒い煙で満たされていく。

「人の家の屋根裏部屋で何をやってるんだ!」

 当一は屋根裏部屋の中に飛び込んでいき、窓を開けて煙を外に逃がしているリーシアと対面した。

「当一……ごめんなさい。ちょっと調合に失敗してしまって……」

 煙に当てられて咳き込んでいるリーシアは、そう言った。

「調合ってなんだ……?」

「ここを薬の調合に使っていいと言われたのよ。だから、レイグネンから持ち込んでくる事のできない薬を全部自分で作っていた所なの」

「ちなみに……今作っていた薬っていうのは何なんだ?」

「私のローブを洗うための洗剤よ」

「洗剤の調合中にあんな爆発が起こるのか! どんだけ危険な洗剤なんだよ!」

 煙が晴れていき、部屋の全容が明らかになると、当一は目を見張った。

「きれいになったな……」

 当一の言う通り、埃の積もっていた屋根裏部屋の様子は一変していた。部屋の壁は、昔は木の板を貼り付けてあるだけで、ペンキどころかニスも塗っていない木材がむきだしになっていた。

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