その子の気持ち
「お前は薬なんか作れるのか?」
「ええ。たしなみ程度だけどね」
あれから二人は、それとなく会話を始めていた。
それから、リーシアは、その女の子の隣に座った。話をしてみると意外と気が合ったというのもある。
「さっきは辛そうにしていたけど、どうしたの? カゼ薬くらいならすぐに作って持っていってあげるわよ」
そして、気になっていた彼女の様子も事を聞いた。
そうすると、その女の子は「大した事じゃない……」と言って、また顔をふせてしまった。
「恥ずかしがる事じゃないわ。誰だって起こることなんだから……」
「だから、それではないとい言っているんだ! しつこいぞ!」
女の子が声を荒げて言うのを見て、リーシアはくすくすと笑った。からかわれたのに気づいた女の子は、リーシアからそっぽを向いた。
「そこまで言われちゃうとどうしても気になるわね。言えない事なの?」
それから、女の子は小さな声で話し出した。
「お前は好きな人っているか?」
そう言われ、リーシアの頭に最初に浮かぶのは今は亡き師の姿である。悲しげに目をふせたリーシアは言う。
「いたわね……もう会えないけど……」
沈痛な表情になったリーシアを見て息を呑んだ女の子。
女の子はそれから話を続けた。
「その人が自分から離れていってしまうというのはどんな気持ちなんだ?」
リーシアが師のレーズと離れ離れになってしまったのは突然で、しかも理不尽な理由からであった。
どうしてこんな事になるのか? そんな事すら考える暇も無く、頭の中がぐちゃぐちゃになったのを覚えている。
「何も考えられなくなるわ。狂ってしまいそうになるほど……」
実際、リーシアは狂った。仇を毒殺までしたのだ。
あの時の感覚は忘れる事ができないくらいであり、今でもふかぶかと自分の心に残っている。おそらく、これから死ぬまでこの胸のできものは消えることが無いだろう。
「狂うのか……ならこれは恋とかそういうものではないのかもな……」
女の子は、なんとなく彼の事を諦められるような気持ちなのだという。彼は、親しい男の子ではあるが、好きなのだと本気で思った事はない。




