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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
幕間 終わった恋と、始まる恋
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幕間の開始

 リーシアは、祥子にたのまれた薬の材料を探すために、近くにあった山の中へと行った。

 レイグネンだろうと、人が生き植物は生い茂る。別の世界といえど、基本的な部分は同じだ。

 草だって、レイグネンと同じ成分を含むものだってあるはずである。基本的に、候補者は戦闘のための限られた時間しかレイグネンに居る事ができない。この世界で、薬の材料になりそうなものを探しておくのは必要である。

 リーシアは、木々が生い茂る中を、祥子から借りた服を着て歩いていた。

 林道を通りながら路傍に生えている草を確認しながら歩く。薬になりそうな種類の草は、見れば大体分かるものだ。めぼしいものを摘んで、一つづつ小分けして持って帰る。

 使えるかどうかは、帰ってから確かめる。屋根裏部屋を改装する時に見つけた薬草の本を見ると、近くの山にも使えそうな草はけっこう生えているるものであるのが分かる。

「一人で生活っていうのはこういう事なのね……」

 レイグネンでは、薬草は商人が勝手に持ってくるものであった。その中から欲しいものだけを選び、後は家の者が商人に金を支払う手はずになっていたのだ。

 この世界にきて、今まで当たり前だった事がまったく当たり前でなくなってしまう。

 貴族の令嬢の身分から、初めての世界に放り出されて一人だけで生活をして、心身共に強くなっていくというのも、その戦いの意義の一つであるのだ。

 知らない世界に放り出されるという事はこういう事である。今まで家庭教師に叩き込まれた、料理や数学などの知識が、いかに大切なものであるかが、身に染みて分かってきた。

「魔術師なんだから体力トレーニングなんて無駄とか……本当にないわ……」

 魔術を志す者として、毎日のようにレーズから筋力トレーニングを課せられていた。

 レイグネンにいた頃は、無駄な事だと考えたが、あのトレーニングが無ければ、自分は、山登り一つでくたくたになって、薬草を探すどころではなくなっていただろう。

 今は亡き師に感謝をしつつ、山の中を散策し続けた。

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