考える
シェールは、ノエリアの事を見ながら顎に手を当てた。
それを見てノエリアは身構える。当一が見ても、ラタが見ても、シェールがノエリアのニックネームを考えているのは明白である。そして、シェールは口を開いた。
「あなたはドジッ娘メイドね」
「私のどこにドジッ娘の要素があるというのですか! 私に対する侮辱ですわ!」
「きっと今朝、ラタの頭にお茶をぶっかけているわね」
「そんな事をしているものですか!」
「今日は何枚のお皿を割ってしまったのかしら?」
それにラタが口を挟む。
「昨日、わたしのお茶碗をうっかり落として割ってしまいました」
「ラタ様まで! 今、その話はやめてくださいまし!」
ノエリアは、羞恥と怒りで赤くなった顔をして、目線をシェール達に向けた。だが、その眼光がさし貫いているのは、シェールではなく当一であった。
「覚えていなさい! あなたのジェズルをコテンパンにしてやりますわ!」
「こいつだったら、煮るなり焼くなり好きにしていいわよ」
「シェール! お前が言うか!」
「トイちんも、そうかっかしないの」
「トイちんって何だ! 俺のニックネームか!」
そして、もうすでに当一のニックネームは決まっていたらしい。
その様子を物陰から盗み見ていた一美は、呆然とした顔を作っていた。胸のもやもやは増すばかりで胸からあふれ出てきそうなくらいである。
「あいつ……いつのまにあんなに女の子ばっかりと仲良くなったんだ……?」
当一は、女友達など多くないと考えていた。だから、あんなに多くの女の子に囲まれているという姿が、一美にはまったく信じられなかったのだ。
だが、冷静に一美は考えた。会話を聞く限りでは恋人同士だという感じはしない。
「もうちょっと……時間があるかもな……」
気持ちの整理をつけるのが今は先決だと考え、一美は、今はこの場から離れていった。




