表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
紋章(エスカッション)
72/176

ラタと遭遇

『なぜだ……正面から行けばいいのになんで私はこんなこそこそしているんだ……?』

 一美は、物陰から隠れながら二人の様子を窺っていた。

『二人に声をかけて『知り合いか?』と聞けばいいだけじゃないか……』

 胸にもやもやしたものがたまっているのだが、どうすればこのもやもやが晴れるのかが分からない。一美は、当一の事が気になっている。なぜだかわからないが、これだけは彼女自身自覚している事である。

『あの子もか……?』

また一人当一に近づいていく女の子が見えた。


「ごきげんようですわ。シェール様にそのジェズル様」

 当一とシェールの前に立ってそう言ったのは、メイド服を着た銀髪の褐色の肌を持つ女の子だ。ノエリアである。

「挨拶など不要だと言っているでしょうに」

 そして、それに続いて長い黒髪の女の子も現れた。ラタの印象は、初めて見たときは、背格好をよく見る事ができなかったが、最初のイメージとは違い、体はスレンダーで背はシェールやリーシアよりも低いかもしれないくらいだ。

 服装は上下ジャージ姿である。

「緊張感がないわね」

 ふと、シェールは言った。

 宣戦布告をした相手同士が相対しているのだ。本当ならば、ここで緊迫した空気が流れるはずであろう。

「あんたのだらしないかっこうを見ていると、なんか冷めてくるわ」

「何の事を言っているのでしょうか?」

「あんたの上下ジャージの事よ。みっともないにも程があるわ」

「利便性を追求した結果です。伸縮性と吸湿性を持った、もっとも機能的な衣服であると私は考えています」

 ラタは、少しだけ自慢げな様子で言った。

「今日も、ジャージをいくつも買い込むためにここに来たのです」

 そう言うラタは片手に三個ずつ、合計六個。ノエリアも手に同じだけの数の紙袋を持っていた。

「その中身は全部あなたのジャージなの?」

 シェールは、ラタが自慢げに話すのを見て、あきれた様子で言った。

「全部自分のものではありません。赤いものはノエリアの分です」

「わっ……私の分でございますか! ……ありがとうございますわ……」

 ノエリアは顔では笑っているが、こめかみのあたりが引きつっている。ラタはそれにまったく気付いていないようであった。

「いえいえ……お礼を言われる事ではありません」

 いつもの淡々とした声で答えたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ