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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
王を、決める戦い
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王をめぐる戦い

 シェールの足は速い。当一からどんどん離れていき、前を走る人影との距離をどんどんと詰めていく。

「卑怯者! 正々堂々と勝負しなさい!」

 そう言いながら相手の事を追っていくシェール。人影は、何度も後ろを確認しながら逃げている。まるで、何か怖いものから逃げているかのようである。

 それを見ると、当一にはどう見てもシェールの方が悪者のように見えた。これが、いったいどのような状況なのかは分からないが、シェールの行動には、彼女のシュヴァリエの要素である、優しさや、正しさ、といったような物は見当たらない。

 シェールは、その人影に追いつき、男の方に向けて剣を振り下ろした。斬撃はバリアが生まれて弾かれる。

 女の子の方の人影は、男を先に行かせて自分がシェールと相対した。シェールに向けて剣をかまえて立ちはだかる。

 当一からは、シェール達が親指くらいの大きさにしか見えていないが、シェールが女の子をあっさりとたおしているのは遠目でも分かった。

 シェールが剣を横に振ると女の子の剣は弾きとばされて、返す刀で剣の腹を女の子のこめかみに叩きつけた。まるで、足で蹴った小石のように飛ばされて、道の外れの、草の生い茂る路傍に倒れた女の子には目もくれず、シェールは先を走る男の方に向かって行った。

 男に追いついたシェールは、男に剣を叩きつける。それは、またバリアによって弾かれた。だが、シェールはもう一度剣を叩きつける。それを数度繰り返した。

 バリアに卵が割れるかのような亀裂が入り、バリアが粉々になって消えていった。

 それを確認するとシェールは剣をしまう。バリアが消えた後には、男の姿はなくなっていた。

 事が終わった後、当一はシェールの所に追いついた。

「あの人はどこに……?」

「元の世界に帰っただけよ」

 これはさっきの彼女の説明で聞いていた。セイフティリングが壊れたのだろう。ジェズルはそうなると元の世界に帰る事になるのだ。

「これが、王を巡る戦いなのか……?」

 これは、シェールから聞いていた通りの事である。この戦いは、ジェズルの潰し合いであり、セイフティリングのバリアが割れれば、負けとなるのだ。

「重要なのはここから」

 お互いにジェズルを潰し合い、ジェズルが倒された方の負け。これが、彼女らの王を巡る戦いの基本らしい。だが、シェールが言うには、この戦いの本番はこの後にあるのだという。

 シェールは来た道を戻る。女の子が気を失っていたのを見て、頬を叩く。

「ん……」

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