この戦いの事
庶民の子供であろうと、この戦いに参加をする権利はあるが、子供一人に何人もの教師をつけて育てるような事ができる庶民などはそうそういない。この戦いの参加者は、ほとんどが貴族や豪商の子供達であるという。
全国から集まった子供達は、一人ずつジェズルを与えられてこの戦闘に参加する。
「ジェズルは完全に無作為に選ばれるわ。こっちの世界の人間の中からね」
この戦いではジェズルはセイフティリングで守られているものの、勢い余って殺されてしまうジェズルも多い。なので、死んでも後腐れの無い他所の世界の人間を選ぶのだという。
「こっちの世界の人間にとっては迷惑な話だ……」
「その分美味しい事もある……っていうこっちの言い訳だけど。あなたはそういう事はしないからね……」
そして、十四年たって王の卵の子供達が成人を迎えると、この戦いが開かれる。
「そういう事だっていうんなら……こんな戦いはまったくの無駄じゃないのか?」
「どうして?」
「王を決める戦いだとはいうけど、王の座なんて、こっちの世界では親から子に引き継がれるもんだ。こんな血なまぐさい事をして取り合いをする意味があるのか?」
「昔はレイグネンでもそうだったわ。王は親から子に引き継がれる。だけど、同じ一族が王の座を独占すると、腐敗が起こるの。そして、何の苦労も知らずに 王の座に座った王が、無知のままに国政を行う。そんな時代が続き、革命が起こった」
「そして、この制度が生まれたんだな……」
「腕っ節には権力や家の財産なんて関係ないからね。王の座はみんな欲しがる。普通の方法なら権力を持った家が手にしてしまうの。それでは、一つの家系が王の座を独占してしまう。
言ってしまえば、王の座に座る人間なんて誰でもいいのよ。一つの家系が長い間持ち続けているのは問題だけど」
「殴り合いの喧嘩で取り合ったって変わらないと……」
「そういう事よ」
この戦いについて、当一は大体分かった。
「どう? 酷い話だと思う?」
「俺はそうは思わないな……」
この制度は、良いものか悪い物かなどという事は、当一には分からない。普通ならば悪い物であると考えるべきであろう。




