開戦
次の日、レイグネンに着いたシェールとリーシアと当一は、遠くにジェズルの反応があるのを感じ、それを頼って石畳の街道を歩いていた。シェールを先頭にして、後ろにリーシアと当一がついて歩いてくる形で歩いている。
石畳の街道の両脇には背の高い草が生えている。枯れかけて茶色く染まっているその草は、風にたなびいてさわさわと音をたてていた。
いまだにシェールは二人と一言も口をきこうとせず、シェールがリーシアに当一の護衛として近くにいるようにと、指示を出したのが最後である。
向かいから、無造作に人影が現れた。その人影は大柄に見えたが、その原因は全身に着ている分厚い鉄板を繋ぎ合わせたような鎧である。
顔を確認できないくらい遠くで、足を止めたその人影は、シェール達に向けて声を張り上げた。
「ラタ・ヴェンターです! これよりあなた達のジェズルを狙います!」
「宣戦布告ね!」
シェールはラタの大声に大声で返した。ラタの声は特徴的な声であった。大声を出しているのであるが、どこか平坦で勢いや力を感じる事のできない透明な声である。
その直後にシェール達に向けて突進をしてきた。
その突進は早いとは感じないが、遠くからそれを見るだけで重量感を感じるようなものである。例えるとしたら象の突進のようなものだろう。
シェールは当一とリーシアを下がらせると、ラタに向けて剣をかまえた。その様子を見て、ラタは突進をしながらシェールに言い放った。
「一対一で戦うというのも、シュヴァリエの精神ですか? あなたは昔からまったく変わっていませんねシェール」
その言葉が終わると共に、シェールの元にたどり着いたラタは、大きく剣を振り上げた。
「あなたも突進しか能が無いのは相変わらずじゃないの」
サイドステップをしてラタの剣が振り下ろされるのをかわしたシェールは、頭から突っ込んできたラタの横に回りこみ背中に斬撃を叩き込んだ。
シェールの斬撃は鎧に叩きつけられ、鉄の潰れる嫌な音がして、ラタは苦悶の表情を作った。




