ラタ達の様子
壁の材質を見ると、そこそこ高級な宿であるようだ。白い壁はきれいに掃除をされている。新品のように白いシーツの敷かれたベッドが二つ置いてある場所である。
「ラタ様。何なりとご命令をお申し付け下さい」
そう言ったのは、ノエリアという名の褐色の肌を持つ銀色の髪をしているメイド服を着た少女だ。王に謁見をするかのように、膝を突いて自分がラタと呼んだ少女にかしずいていた。
「遠くに二つの反応があり、うち一つが消えました。それを次の相手とします」
抑揚の無い声で言ったのは、がちがちの重鎧を着た少女である。ヘルムは外しているため、黒い前髪を切りそろえており、艶やかな長い髪を鎧の上にたらしている姿が見える。
「新しいのが入ってくるって事か?」
そこに、男がドアを開けて入ってきた。いやらしい笑みを浮かべた男である。ラタが表情を変えずに男に声をかけた。
「秋成。勝手に入ってこないで下さい」
秋成と呼ばれた男は鎖を持っていた。それは、女の子を繋ぐ首輪に繋がっている。
これは、珍しい事ではない。この戦いで負ければ、相手の言いなりにならなければならないのだ。このような境遇に陥るものも少なくない。
秋成は鎖を引っ張る。そうすると、じゃらりという音がして、女の子が秋成に引き寄せられていく。無遠慮に女の子の肩に腕を回した秋成は、ラタに向けて言った。
「今度はもっと活発な娘がいい。おとなしいのもいいが、少しは張り合いも欲しいからな」
「あなたの趣味など聞いていません」
そう言い、ラタは秋成から顔をそらした。
「あなたの部屋は他に用意したではないですか。早く部屋に戻ってください」
「なんだその言い草は? 俺はジェズルをやめてやってもいいんだぞ」
「その言葉は聞き飽きました。特権を手放す気が無いのは分かっているんです。そんな脅しをしても、私は動きませんよ」
ラタは、秋成から顔をそらしたままそう会話をした。秋成は舌打ちをしてから女の子の鎖を引いて、部屋に戻っていった。




