ピリピリした空気
「好きな物を頼んでください。お金は私が払います」
一つのテーブル席に二人で座った後、ラタはノエリアにメニューを渡し、ノエリアの様子をうかがった。
(これもテストのうちでございますか……)
ノエリアは固唾を飲む。
実際の戦いを行う前にノエリアの食べるものを確認しようというのだろう。
ある程度、戦いに必要な栄養素というのは決まっている。
「チキンライスとコーヒーを……」
ノエリアは店員にそう頼む。
戦いにスタミナをつける時には炭水化物。頭を働かせるための糖分にカフェインである。
ノエリアはそう考えてこの二つを注文した。
これは果たして正解なのだろうか? ノエリアはラタの様子を見た。
ラタの様子は変わらない。
(大変な人を選んでしまったかもしれませんわ……)
ノエリアはピリピリした空気を感じる。ラタの無言のテストは宣言もなしに始められた。
だが、戦いに身をおくというのはこういう事なのかもしれない。いつ敵に襲われるか分からない。どういう方法で襲ってくるかも分からない。
ノエリアは戦いに参加して初めてこの戦いの厳しさを知った。テストという形で自分に牙をむいたラタが、冷たい目で見つめている。
コーヒーがノエリアの前に出された。
調味料の中にある砂糖をいつも自分が使う量と比べて多めに入れた。
まったく味を感じないコーヒーが喉を通る。
熱いコーヒーを何度にも分けて飲むのを、ラタはずっと冷たい視線で見ていた。
少し経ってからチキンライスが目の前に出される。
このチキンライスも、まったく味を感じる事ができなかった。




