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それができないの

「それが分かっているなら、これからそうすればいいんじゃないか?」

「簡単に言いますね……当一さんは、いままで失敗をした事くらいあるでしょう? そのたびに反省をして、また失敗をして反省をする。皆、それの繰り返しを続けているのではないのではないですか?」

「確かにな……」

「人間はすぐに別の人間には変われません。自分に嘘をついて生きている人間は、死ぬまで自分に嘘をついて生きていきます。まっすぐに生きている人間は、それを死ぬ瞬間まで貫き通す事でしょう」

「それが抗う事をしないという事なんだがな……」

 リーシアはこのままシェールに憎まれ口を叩いて生きていくつもりなのだろう。

 それが、諦めが良すぎるというのだ。シェールに自分の心をぶつけるべきだと当一は思う。

 だが、リーシアには彼女の考え方がある。彼女が選んだ道なのだ。彼女が望んだわけではないが、自分から選んだ道を、簡単に変える事なんてできるわけがないだろう。

 それは当一も分かっている。だが、当一は諦めの悪い男だ。何があっても、リーシアの事は沈み込んでいる泥沼から這い出させようと思う。

「自分の体が汚れているって言ってたな」

 当一はベッドから起きだした。タンスの中から、自分のジャケットを二つ取り出し、一つをリーシアによこす。

 布団の上で、上半身だけを起こした状態で、ジャケットを受け取りながら、『これはどういう事ですか?』といった表情で当一を見上げるリーシアに向けて、当一が言った。

「綺麗なものを見れば、体の汚れも取れるんじゃないか?」

 当一は、彼女を元気付けるために、あの林道からの景色を見せるつもりなのだ。


 当一とリーシアは夜の街を大鷲に乗って飛んでいた。

「歩いていくよりこの方が早いですよ」

 大鷲の背中に乗っている当一は、下からリーシアの声が聞こえるのを聞いた。リーシアは大鷲の足を掴んでぶら下がっているのだ。

「俺がそっちに行こうか? 女の子は背中に乗ってくれりゃいいだろう?」

「この子にぶら下がるのにはコツがいるんです。下手をすると振り落とされますからこのままで」

 ここからでも夜景は見える。車のライトや夜でも動いているビルの光が見え、それを見たリーシアはため息を漏らした。

「昼間は味気ない景色に見えましたが、夜になるとこのようになるのですか」

「この綺麗な景色を見るのに、一番のポイントがあるんだ」

「楽しみですね」

 大鷲は当一の指示をした場所に向かって行った。

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