シェールの勝利
リーシアは、自分のジェズルを当一の事を連れ込んだ洞窟に隠れさせていた。リーシアのジェズルは、リーシアが負けた事を知ると、セイフティリングを素直に明け渡した。
「これで、私はあなたの言いなりにならなきゃいけなくなったわけね」
リーシアの皮肉とも取れる言葉を、シェールは、無言で聞きながらセイフティリングを握りつぶした。
リーシアのジェズルの体が光に包まれ、当一達の世界へと帰っていった。
リーシアは自分のジェズルが元の世界に帰ったのを見送った後、シェールに向かって聞いた。
「私をどうするつもり?」
シェールは顔をしかめて頭をかいた。
これだけの因縁のある相手である。シェールとしても扱いに困るところであろう。元は親友である。だが、今となっては自分の事を心から憎んでいる敵だ。
シェールの心境としては、『切りたくもあり、切りたくもなし』といったところだろう。
シェールは一瞬だけ当一に助けを求めるような視線を送った。だが、すぐに目を逸らし自分の弱気を振り払うようにして首を振った。
一瞬だが、シェールは当一に助けを求めようとした。当一はそれを感じ、自分が思ったとおりの事を言う。
「リーシアは俺たちと一緒に戦おう」
当一はそう言った。リーシアは呆然とした顔で当一の事を見た。シェールは当一の言葉に異をとなえる。
「あんたっ! 私たちが今どんな関係なのか少しは分かっているでしょう!」
「幼馴染であり、同じ学び舎で学んだ仲間なんだろう?」
当一は、いたって真面目な顔で言った。確かにそれは事実だが、ここまでの事を知っていてその言葉が出てくるというのは、シェールには嘯いているようにしか聞こえなかった。
リーシアがそこで言う。
「ありがとうございます」
リーシアはシェールの前に進み出て、まるで騎士が王に向けてするようにしてかしずいた。
「私の命をあなた様に捧げますわ。いかようにでもお使い下さい」
シェールは面食らったようにする。リーシアは、ずっと頭を垂れていた。




