話が終わって
「この話をどう受け取ろうがあなたの勝手よ。どう思ったところで、何もできないだろうけどね」
坦々とこの話をしたリーシアは、すぐに当一に背を向けた。そして、早足で当一の目の前から去っていく。まるで、逃げるような足取りであった。
「逃げるなよ」
当一に言われて、リーシアはピタリと足を止めた。
「逃げるですって……」
そう言って振り返ったリーシアの顔は、先ほどまでの憎悪を浮かべたままであった。ただ、口元から笑みが消えている。
「逃げるような足取りじゃないか。俺から何か言われるのが怖いのか?」
「遠吠えをしたいなら、好きにしたらいいわ」
「なら、多少うるさくてもかまわないな」
そう言うと、リーシアは当一に体を向けた。
「お前はシェールがうらやましいんだ。彼女の持つ力強い心を、お前も欲しいと思っている」
リーシアはそれを黙って聞いていた。憎悪を浮かべた顔を相変わらずだ。
「だけど手に入れる事なんて絶対にできない。だからせめて、シェールの心を崩してやりたいと思っている。手に入らないなら壊してしまおうっていうわけだ。醜い嫉妬だな」
当一が言い切ると、リーシアは怒りに任せて床に転がる当一を蹴り飛ばそうとした。だが、セイフティリングのバリアに阻まれてその蹴りは届かなかった。
「図星をつかれて取り乱すなよ。クールなイメージが台無しだぜ」
ニヤリと不敵に笑う当一。
舌打ちをしたリーシアは当一に背を向けた。そして、当一の前から立ち去りながら言う。
「勝てばいいのよ」
「お前はシェールには勝てないさ」
それに対して、皮肉げな当一の返事がかえってきた。




