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壊れたリーシア

 ゼルに正面から立ち向かって勝ったシェールには、その事が微塵も理解できなかったのだろう。

「あなたには分からないわ……」

「分かりたくも無いわね」

「そうでしょうね……」

 私の胸の中には、その言葉に怒りを感じる部分が存在した。

 確かに、自分は汚れている、卑怯な手段を使って敵討ちをしている。だが、それは仕方がなかった。弱い自分にはその方法しかなかったのだ。

 シェールは弱い私とは違う。そのシェールは弱い私に自分の方法を押し付けてくるのが我慢できない。人の事を考えない傲慢な言葉に聞こえる。

 ふと、私はその胸の中に浮かんだその気持ちを吐き出した。

「『そちら側』の人間は言う事が違うわね。私のような、卑しい薄汚れた人間の気持ちなんて、あなたにはどうでもいいのね」

 そこまで言うと、シェールは私を刺し貫くような鋭い視線で見るのを止めた。そして、私の事を驚愕しているかのようであり、そして、恐怖をしているような顔で見つめる。

 私はその時、なんとも形容しがたい、恐ろしい笑い方をしていた。

 私は続けた。

「私のような人間には、こんなやり方しか用意されていないのよ。いくらでも侮蔑すればいいわ。私は汚く汚れているの。あなたのような高潔な道を歩む事はできないのよ」

 シェールは高潔な道を歩き、私は汚れた道を歩く。この差には、体の芯に刻み込まれている運命のようなものであると感じた。彼女の芯にある高潔な運命を、私は恨んで憎んだ。

 そして、その時始めて、私はシェールの事を粉々に壊してやりたいと、自分が思っている事に気付いたのだ。

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