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虎視眈々

 当然の事であるが、私はヴィッツを師と認めて教えを乞うつもりなど毛頭無かった。

 隙を見て彼の事を殺すつもりだった。そのために近くに置いておくのが一番であると考えたのだ。自分の師としてでもいい。とにかく、自分の目の届く所に置いておきたかったのだ。

 何度も、彼の様子をうかがった。彼が隙を見せる瞬間を、獣が獲物に飛び掛る瞬間を狙うように、じっとして待ち続けた。

 その一環として、彼の指導が終わった後、様子を窺う事にした。

 魔法薬の講義終えたヴィッツに、紅茶を出してみると、ヴィッツはそれに一応口をつけた。

 だが、全部を飲み干そうとはしない。少し味を確認しただけであった。

 魔法薬といえど、致死量というものがある。少しなめた程度で死に至るような薬は無い。味を確認し、舌を湿らせて毒が入っているかどうかを確認する。

 これは前の私の師であるレーズが、私に教えたことだ。

 ヴィッツは自分に対して不信感を持ち続けているようだ。忍耐強く、そして用心深く、チャンスを待たなければならない。


 ヴィッツの指導を受け始めてから一月くらいの時間が経った頃、シェールが私の所に訪ねてきた。

 久々にシェールが自分の所にやって来たと聞き、私は久しぶりに再会をできると喜んで、シェールの待つ応接間に行った。

 ドアを開けると、私は久しぶりに会う友人に声をかけた。

「シェール……久しぶりね」

 感極まった私は、シェールの顔を見ると泣きたくなるくらいに嬉しかったが、シェールが私の事を見る目は冷たかった。

 当然だが、私はヴィッツの事を殺そうとしている事を誰にも打ち明けてなどはいない。シェールにはそれを打ち明けるつもりだった。だが、その凍った視線は私の喉から出かかった言葉を喉の途中で止めて、吐き出させてくれなかった。

 そして、シェールは口を開いた。

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