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過去の話

 私、リーシア・ドーラーの運命はその瞬間からねじれてしまった。それを見てしまったのは不幸だったのかもしれない。

 三年前、私は幼馴染のシェールと一緒に自分の師匠の決闘を物陰から盗み見ていた。

「スターク師匠。がんばってください」

 私の横には目を輝かせて自分の剣術の師の勇姿を見るシェールの姿があった。そして、私もシェールと同じような目をして自分の師を見つめていただろう。

二人の師匠がいるのは、町の外れにある高台である。高台の様子を、少しはなれた場所にある林から、木々の間に隠れ、魔法の望遠鏡を使った私とシェールが見ていたのだ。

お互いの師は、若い頃に冒険を共にした仲なのだという。剣士のスタークと魔術師のレーズと言えば、少しは知られる名であったようだ。壮年となり、冒険者を引退した後、三年後に王の候補者になる事をすでに運命付けられた私達に、武術を教えてくれているのだ。

自分達の目の前に浮かぶ、化粧台の鏡ほどのサイズの映像の中にスタークとレーズが堂々とした姿を見せている。

決闘は二対二で戦うはずだった。

だが、対戦相手は手下と見える男を何十人も連れて現れてきたのだ。

それから行われた戦いは決闘などと呼べるようなものではない。何十人もの人間で、師匠たちを囲い込んでのリンチである。私とシェールの二人は、その様を呆然として見ている事しかできなかった。


 町に帰ると、見た事をあらいざらいに話した。自分の親から始まり、友人知人から、裁判所にも届けを出した。だが、私達の主張は受け入れられなかった。

『リーシア・ドーラー並びにシェール・グスタークは、今回決闘で亡くなった二人と師弟関係にあるため、剣士スタークと魔術師レーズの事を弁護するために嘘を言っている可能性がある。

 対戦相手であるゼル並びにヴィッツの証言から、二人が決闘の場に居なかったことが証明されている。それに対して、魔法の望遠鏡で見ていたという事であるが、それを証明する手立ては無い』

 裁判所の決定はこの通りである。証拠不十分で釈放というやつだ。

 師匠を殺したゼルとヴィッツの二人が、したり顔で元の生活に戻っていくのを、私はシェールと共に苦々しい顔で見送った。

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