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昔の友人の事

 唇を噛み締めながら宿屋に帰ったシェールは、鎧を脱ぎ捨ててシャワーを浴びに宿の風呂場に行った。

 頭の中は過去の苦い思い出でいっぱいになり、ぐちゃぐちゃだ。それに今回の失敗の反省もある。

 今回、リーシアに当一がさらわれたのは、彼女の策にはまったからだ。

 リーシアは、わざとジェズルの反応をさらけだしていた。隠すような素振りをしていたのは、おそらくシェールがジェズルの所に向かうのに時間がかかるようにだろう。

 これは、シェールの事をさそっていたのだ。それに、のこのこと乗っていった自分は、当一が邪魔になるなどと、余計な事を考えて彼を宿屋に残した。

 敵のジェズルの反応を見る事ができるのは自分だけではない。相手も同様である。そして、自分のジェスルの反応を、自分で感じる事もできない。

 ジェズルに危険が迫っても、自分では分からないのだ。

 リーシアは自分のジェズルを遠いところに置き、単独で行動を取ってガラ空きの当一を狙ったのだ。当一を自分から離してしまったのは、完全に自分のミスである。そんな事をする必要は無かった。当一も連れて、ジェズルの反応の所へ行けばよかったのだ。

「リーシア……まだ私の事を恨んでいるの……?」

 そして、次に頭の中を巡ったのは、幼馴染であったリーシアとの確執の原因である。あれは、自分が悪い事ではないとシェールは考える。だが、リーシアにとっては違うのであろう。

 リーシアが自分の事を憎む理由が、シェールには理解ができなかった。あれは、どちらかといえば、リーシアに非があるとすら、シェールは思っている。

 水を弾くシェールの肌が温まった事を感じると、宿屋に備え付けられている寝巻きを着て、心労からくる疲れで体をふらふらさせているシェールは、粗末なつくりであるが、しっかりと手入れをされているベッドに潜っていった。

 布団を被ったシェールは、唇を噛み締めながらベッドに溺れていく。

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