表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/176

魔法屋の来訪 直し

 シェールは宿をとり、当一はそこでシェールが帰ってくるまで待っているように言われた。

 当一も、さすがに歩き疲れていたためシェールのとった宿でおとなしくしている事にした。

 その宿とは、中が小奇麗になってはいるが、内装は木の板を張って作られた壁一枚でできており、隙間から隣の部屋の様子が窺えるようになってすらいる。この世界の、壁の薄い安宿のようなものであろう。当一は、椅子が一つも無いその部屋で窓の近くに置いてあるベッドに腰掛けていた。

 当一は、宿から出て行くシェールを部屋の窓から見送った。

「あいつは俺の事をどう思っているんだろう……?」

 シェールは、当一の事をどう思っているのだろうか? 『あなたの役目は逃げ回る事』この言葉から、彼女は当一に一緒に戦う事を望んでいるようには聞こえない。

 なら、何であろうか? ジェズルというのは、『権杖』の事らしい。権力を持つ事を象徴する道具であり、これが折られれば負けるのだ。

「折られなければそれでいい……くらいかな」

 当一の事を足枷のように思っているのだろう。

 彼女にとっては、自分はいてもいなくてもいい存在なのだろう。当一はただのジェズルであればいい。仮にジェズルになった人間が当一でなかったとしても、ジェズルに対する態度は変わらない。

 当一は、彼女の事を止めるためにこの戦いに参加した。シェールがあの女の子にやったような事がそこらじゅうで繰り返されているのだ。当一はそれを止めたかった。

 だが、その目的を達する前に足踏みをしているような気がする。どうすれば、彼女は自分を仲間として見てくれるだろうか?

「強くなる……」

 当一はひざの上に置いてある竹刀を強く握り締めて言った。自分が強くなれば、シェールは当一が自分と同列の人間であると考えるだろう。そうすれば、当一の言う事を、シェールも聞くかもしれない。

 今の当一にはそれくらいの事しか思い浮かばない。

 トン トン……

 そこに、宿のドアを叩く音が聞こえた。

「誰ですか?」

 当一はドアの向かいにいる人間の耳に聞こえるように大きな声でそう聞いた。

 シェールに言われている。ドアを不用意に開けてはならな。もしかしたら敵の刺客かもしれない。

「私は魔法屋です。王権争いに参加されているジェズルの方とお見受けします。この世界にやって来たばかりの人には魔法は珍しいでしょう? せっかくこの世界にやって来たのだから、記念に魔法の一つでも買っていきませんか?」

 魔法……当一にとっては渡りに船のような話だ。魔法といえば、火の玉をだしたり、氷の刃を出したりする事のできるものである。それがあれば、一足飛びで強くなる事ができるだろう。

 当一は何の疑いも無しに、そのドアを開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ