レイグネンで
二人が降り立ったのは、昨日戦った街道であった。
「今度は目を回さないで来れたわね」
鼻で笑いながら当一に向けてシェールは語りかけた。
「馬鹿にするんじゃない」
二人の間には険悪な雰囲気がある。
だが、その事を本人達は感じているものの、その空気を取り払おうと考えていない。
二人とも相手に、敵意に似た視線を向け合いながらの会話をする。
「この辺に敵はいないわね。町の方に行きましょう」
「町にいると人ごみにまぎれる事になるだろう? 人ごみに隠れて敵が攻撃をしてくる可能性があるんじゃないか?」
「あなたの役目は『逃げ回る事』だっていうのは教えたでしょう? 何をどうするかは、私が全部決めるわ」
そう言い、シェールは当一に『ついて来て』と言って遠くに見える町に向けて歩いていった。
町は昔のヨーロッパの風景に似ているだろう。だが、建物の形に似た所はあるものの、建物の材質が、当一でも見た事の無い光を反射するものであった。
それに、少数であるが、丸い形をしたドーム型の建物も存在し、それにいたっては完全に未来の建物のようである。
病院の床のような無機質な光を反射する建物の数々は、中世ヨーロッパ的な印象を付けると共に、近未来的なイメージもあるように見えた。
今、当一達が歩いているのは、多くの露店の並ぶ商店街の通りである。
ゴザをひいて、その上に並べられている露天があれば、屋台のようなものを引いてきて、その上に商品を並べているものもある。
そこに売られている野菜や果物も当一の世界に似たものがあるのと同時に、この世界でしか見たことのないものもあった。
硬い殻の中に、ザクロのように小さな実が詰まっている果物。中に入っている実はみずみずしく、一粒一粒がマスカットの皮を剥かれたもののように緑色に光っていた。
それを見ると、当一は自分がまったく別の世界にいるという事を痛感させられる。
「町に来た目的は?」
当一は、シェールに聞く。ぶっきらぼうで露骨に嫌な感情の込められた言い方で言った。
「敵を探す。いなければ次の町よ」
シェールも当一に合わせるようにぶっきらぼうに返事を返した。
シェールは人の多く集まる所に来て、敵を探しているのだ。見つからなければ次の町。これを繰り返すつもりらしい。




