家に帰ると
学校から帰ると、シェールが部屋で待ちかまえていた。気合の入った様子で部屋に入った当一を睨みつける姿から、今日もレイグネンに行くのだろうと推測できる。
「準備はできているぞ」
当一は、自分で買った竹刀を持ってそう言った。
今こそ一美の特訓の成果が試される時だ。そう思った当一は、がらにもなく気合の入った顔をしていた。
だが、シェールはそれに眉根を寄せた。そして、当一の持つ竹刀を指差して言う。
「それは何?」
「今日も戦う事になるんだろう? だから武器を持ってきた」
眉根を寄せたままのシェールは言う。
「それ、どこかに置いてきて」
「何でだよ!」
「ジェズルの役割は逃げ回る事よ。そんなもの、逃げる事の邪魔になるだけじゃない」
「そんな事はない! 今日だって特訓をしてきたんだ! 絶対に役に立ってみせる!」
「あなた達のやっていた、『子供のお遊び』は私も見ていたわ。あんな特訓じゃものの役にも立たないのよ」
シェールはそう言うと、腰の剣を一瞬で抜き、竹刀に向けて剣を振った。
シェールの一撃は、竹刀を叩き割るためのものだったのだろう。剣線が当一の持った竹刀に一直線に向かっていた。
だが当一はそれに反応して竹刀を使ってシェールの剣を受け止めた。
シェールの攻撃をそのまま受けたら、竹刀は砕けていた。だが、剣に熟達した者が体で覚えている場所である、竹刀の強い部分の、根元の部分で攻撃を受ける事でシェールの攻撃を防いだのであった。
「役に立っただろう?」
当一は自信に満ちた笑みを浮かべてシェールに言った。
「一回受ける事ができただけじゃない」
シェールは憮然としてそう言ったが、第二撃が飛んでくる様子は無い。口にはしないが、これで、竹刀を持っていく許可が出たのだろう。
「それじゃあ行くわよ」
シェールが指を鳴らすと、部屋の床に魔法陣が現れた。
二人は、その魔法陣に飲み込まれていく。




