昼休みの時
当一は昼休みに校庭の隅にある木のところにやってきた。
「おい! 降りてきたらどうだ!」
シェールが木の枝に座っているのだ。声をかけても反応が見えない。
石を拾ってシェールに向けて投げつけた。
目を閉じていて、起きているかどうかも分からなかったシェールだが、目を閉じたまま当一が投げた石をキャッチした。
初めて面倒そうにして目を開き、横目で当一の事を見ながら言う。
「気にしないでいいのよ。あんたは、いつも通りに生活をしていればいいんだから」
今の当一はあの魔術師に狙われている。身の安全を考えたら、当一は学校に出ずに家でおとなしくしておいたほうがいい。
シェールはその当一をつかず離れずの距離で監視をして、襲撃者から当一を守っているのだ。
シェールは石を放り捨て、また目を閉じた。体を木の枝に預ける。
「その代わり、レイグネンでは私の邪魔はしない事」
あなたの身の安全は保障する。その代わりにレイグネンでは自分の言う事をしっかり聞くこと。
シェールは、当一にそう契約を持ちかけてきている。
ジェズルの特権を受け取らない当一に、代わりとして出している交換条件のようなものであると彼女は考えているのだろう。
「睡眠なんてのは、数分の間、うとうとするくらいで十分なのよ」
「お前は野生動物か……」
『うっさい、うっさい……』といった感じで手をひらひら振りながら、木の枝に腰を落ち着けたシェール。
当一は、シェールには何を言っても無駄だと思い、シェールの前から去っていった。




