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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
幕間 一美の場合
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当然こうなる……

 オオルリは、その笑い声を聞きながら頭の中を整理させていった。

「つまり……この茶番は、わたしの弱みを作るためのものだったんすか……」

 いきなり脅迫をしてきたサナミに、オオルリは本気の歯ぎしりをしながらふつふつと湧き上がる怒りを噛み締めていた。

「最初からそのつもりだったんすね……?」

「そうや。直接戦っても勝てない相手ならば頭を使って戦うもんや」

 カメラを持ったサナミは、まるで自分の行動を誇るような言い方で言う。それがさらにオオルリの琴線に触れた。

「やかましいっす!」

 頭に取り付けたウサミミのヘアバンドを地面に投げつけて、オニのような形相で、サナミに向けて顔を上げた。

 剣を拾い、柄を強く握り締めながら切っ先をサナミに向けた。

「なんや……? この写真をばら撒かれてもいいんか?」

 オオルリの剣幕に圧されながらも、サナミは言う。

「ばら撒かれるのは困るっす。だからその写真は、持っている人間ごと消去する事にするっす」

 オオルリに気圧されながら、ジリジリと後ずさりをするサナミ。サナミは自分の背後にある木に背中をぶつけた。

「これは……本気やん……」

 逃げようとして、体を翻すサナミ。

 だが、オオルリの射た矢がサナミの服に刺さり、矢で木に釘付けにされる。

「死になさい……」

 小さくドス黒い声でオオルリが言った。

 弓を背中に抱えなおしたオオルリが、剣を抜くその動作を、サナミは恐怖を覚えながら見つめていた。

「あたし……死ぬかも……」

 自分がとてつもなく愚かな行動をした事を、ようやく理解したサナミは、すべてを諦め放心した目で、オオルリが振り下ろす剣を見つめた。


 オオルリはロープを使ってサナミをグルグル巻きにした状態で一美の家に戻ってきた。ロープの先を庭先の木に括り付け、まるでタロットの『吊るされた男』のような状態でぶら下げる。

 それを、じとっ……とした目で見たオオルリは、顔を外した。

「当分、そうやって反省しておくっす」

 オオルリはそう言って離れていった。足音がどんどんと小さくなっていくのを聞き、サナミは安堵のため息を吐いた。

「命は助かったようやね……」

 サナミは、それから、一晩中吊るされることになった。

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