相手の要求は
オオルリと一美が街道を少し歩くと、相手は待ち構えているようにして腕を組んでこちらの事を見ていた。
「あっちもやる気満々のようっす」
オオルリは、手で一美の事を制した。『これ以上こちらに近づかない事』というサインである。それを見た一美は足を止めた。
「戦うのは私っす。一美は武器をしまっておくっす」
この戦いは、地球の人間からしたら、とてつもないレベル違いの戦いだ。
少し武道をかじっているだけの人間が介入していっても、まったくついていけないだろう。
その言葉を聞き、一美が木刀を降ろして数歩後ろにさがるのを見て、オオルリは満足そうな顔をし、すぐに敵を見つめた。
「まあまあ、怖い顔をしなんな。戦う前に話を聞きぃ」
オオルリは、関西弁のような言葉を使う相手に剣を向けながら言う。
「このまま話すっす」
剣を仕舞わないオオルリの事を見て、両手を上げた相手は、話し始めた。
「あたいは、自分が王さんになる事は考えとらんのよ。この戦いでは、王さんになりそうな人を探して、コバン鮫のようにおこぼれをもらう事を考えているもんでな」
この戦いは、王の座を取り合う戦い。
だが、全員が死力を尽くして勝ち上がる事を考えているわけではない。
自分の力量の低さから、誰か強い相手を探してその人に取り入って地位を手に入れようと考える者も多い。
「だけど当然、弱い人なんかについていくわけにはいかないやん。だから、あんさんの力を見せてもらうで」
オオルリは、剣を下ろす。
「まずは、何をやればいいんすか?」
オオルリがそういうのを聞いて、相手の女の子は、ニヤリと笑った。
「あたしはサナミと言うんや。これからよろしゅう」
そう言うサナミの事を、オオルリは油断を見せないように、じっ……と見つめた。




