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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
王を、決める戦い
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風呂から上がると

「出るぞ」

 当一はそう言って湯船からあがった。自分は彼女にそれを伝えたい。そして、その行動を正して欲しい。おこがましい考えであるとは感じている。だが、自分の芯の部分が、彼女にそれを伝えろと言っているのである。

「え……ちょっと待って……」

 思考の中に沈む当一には、シェールがそう言うのが聞こえていなかった。

 曇りガラスの張られた扉を開けると、慌てた様子のシェールと目が合った。そして、彼女の視線がどんどん下の方に下がっていった。そして……

「キャァァァァァ! バカ! ちょっと待ってって言ったのに!」

「出るぞって言ったじゃないか!」

「だから私の言う事も聞きなさいよ! バカ! バカ! 変態!」

「だったらさっさと脱衣所から出て行けよ!」

「こんな物を見せ付けといて、よくもそんな事が言えるわね!」

 その声を聞きつけて祥子がやってきた。シェールが一部始終を話すと、当一はそのままの姿で居間に引っ張り出される。

「あの……服を着ていいですか……」

「そのかっこうが好きなんじゃないの? 当一さん?」

 丁寧語で相手に向って話すのは、この家族の間では相手に重要な事を伝える時の信号らしい。

「あなた……物には順序っていう事をご存知?」

「いきなり一つ屋根の下っていうのも、順序を外れていると思うんだ」

「当一さんが連れ込んできた子じゃないのですか。そんな事を言える立場ですか?」

 このように、当一も下手に反論をするから話が長引く事になる。祥子の説教は、平行線のまま、深夜にまで続いた。

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