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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
王を、決める戦い
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風呂の前で

 食事の後に風呂に入るのは当一の習慣である。当一は、普段ならゆっくりできるはずの風呂場の時間を、変な汗をかきながら過ごす事になった。

「なあ……いつまでそこにいるつもりなんだ?」

「ずっとよ。いつ敵が襲ってくるか分からないからには、離れずの警護は基本じゃない」

 シェールが脱衣所に居るのだ。脱衣所と風呂場をし切る曇りガラスから、彼女が脱衣所で仁王立ちしているのが当一には見えた。

「なんかおちつかないな……」

「がまんなさい」

 当一の文句をシェールは一言で切り捨てた。

 しぶしぶ風呂場で過ごす当一は、シェールに声をかける。

「お前は風呂には入らないのかよ」

「なっ……何を言っているの! あんたと一緒にお風呂なんかに入る訳がないじゃない!」

「いや……一緒に入るとは言っていないぞ。俺が出た後の話だ。俺を勝手に変態にするなよ」

「うるさいわね! こういう状況で言われたら、そう思うってものじゃないの?」

「そりゃあ悪かったな」

 どうも当一は、シェールとの会話がかみ合わないように感じる。

 当一は、湯船に浸かりながら彼女がレイグネンでとった行動を思い出した。

 彼女は、怯える女の子を追いかけて叩きふした。シュヴァリエを志す彼女がとるべき行動とは思えないが、彼女はそれを「敵に背を向ける相手の方が卑怯」と言って切り捨てたのだ。

 彼女の行動には当一は嫌なものを感じる。

 彼女は、シュヴァリエに準じた行動を取っていると言うが、それはどうしても言い訳がましく見えて仕方がないのだ。自分に餌を与えるためだけに、女の子を襲ってそれを適当な言い訳で正当化しようとする。

 当一は、それを言葉にして彼女に伝えたかった。だが、何と言えばいいのだろうか? 彼女はそれを正当だと信じて疑わない。自分に都合のいい考えにすがりついて、何かにつけてそれを正当だと言い張る。彼女の行動は、そのように見えるのだ。だが、そのまま伝えたところで、彼女は怒るだけに決まっている。

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