魔法の戦い
「当一はよくやっているわ……」
二体のエスカッションの戦いを見物していたリーシアは、シェールとラタの戦いに目を戻した。
お互いに剣を合わせて、一進一退の攻防をしている。
リーシアは、シェールの支援をしていった。
「ディスペル……」
そうリーシアが言うと、ラタの剣に重みが加わっていく。
ラタのクレイモアから、フェザーソードの魔法を解除したのだ。シェールの剣にかけられた、ライトソードの効果は、まだ残ったままである。
「こうなれば、剣がジリジリと削られていくはずよ……」
ライトソードをかけられた剣は高温になる。本来ならば、ラタの剣は、ジワジワと削られていくはずだった。
「この剣は腕のいい鍛冶屋の特注品です」
つばぜり合いをしながらも、ラタはシェールに向けて言う。
「そうなの……」
そう言い、剣を払ったシェールは、ラタから距離を取った。足元は不揃いな石を敷き詰めて作られた道である。歩くのにも難儀をする、この街道の上を、ブーツが踏みしめるのを感じ、ながら、ラタの事を見た。
後ろから、ガンガンという音が聞こえてきたのに、耳を動かして反応をしながらも、ラタはシェールの事を見つめてきた。
シェールもその眼光を受け止め、ラタを睨み返す。
そのラタの目には、魔法の詠唱をしているリーシアの姿が見えた。
リーシアはファイヤーボルトの魔法を放った。
これは、三発の火の玉が、対象に向けて落ちていくという魔法である。
その魔法は、ノエリアに向けて放たれている。ノエリアは、ファイヤーボルトを、自分の作った、魔法の壁を使って凌いでいた。
フェイスメイルという、その魔法は、対象を覆うドームのような形をした魔法だ。
そのドームに亀裂が走ると、またノエリアが新しくフェイスメイルをはり直す。
「これは詠唱速度の勝負よ」
リーシアが言うと、またも、ノエリアの頭上に、火の玉が飛んできた。
「また……」
苦しそうにしながら言うノエリア。何度も降りかかってくる炎に対し、対処ができかねているのだ。
これは、リーシアとノエリアの精神力の勝負である。ノエリアに対し、リーシアは涼しい顔をしながら、またも詠唱を続けている。
まるで、機関銃のように、空から魔法を降りてきているのだ。ガンガンと音が鳴るのを聞いて、シェールは口元をニヤリとさせ、ラタは顔を険しくした。
あと何度魔法のドームを作り上げる事ができるか分からないノエリアであるが、それでも、リーシアの猛攻はやまない。
ラタは、シェールの隣をすり抜け、リーシアの方に向かっていった。
ノエリアを守るため、リーシアを倒す事を選択したのだ。
シェールも、一瞬悩んだ後、ノエリアの方に足を向けていった。
お互いに後衛の始末を先にするという作戦に切り替えたのだ。




