旅の仲間たち
サクっと次に進みます。お約束(以下略)
そうして、この異世界へと呼ばれてからきっかり1ヶ月後。わたしは魔王討伐の旅に出た。
旅の仲間は第二王子、それに従うマッチョな騎士、豊満なボディの魔法使いのお姉さん、眼鏡が嫌味なほど似合う賢者。
そして、忘れてはいけないわたしの心のオアシスである親友。
皇太子はわたしが旅に出ている間に親友をどうにかしてやろうという算段だったようだが、甘いわ。砂糖入れすぎてネバッネバになったお汁粉より甘い。
わたしはチートな能力を使って、親友にひとつだけ力を授けた。授けた、というか開花させたというか。
元々、異世界を渡ってきた時点でわたしにも親友にも高い魔力を授かっていたようで、わたしはその魔力を自由に使えるようにチョコっと細工しただけ。
優しい親友には魔物と戦う術なんて持たせたくなかったので、癒しの魔法を使えるようにした。
きっかけさえ与えれば、親友は後は自分の力で癒しの上級魔法まで会得した。
そんなこんなで、親友も立派に旅のメンバー。意気揚々と城を旅立ったわけだ。
マッチョな騎士さんは豪快に笑う気のいいお兄さんで、豊満ボディの魔法使いのお姉さんは何故かわたしを猫可愛がりしてくれた。
第二王子は言わずもがな、非常に紳士的でした。旅の間中ずっと。
眼鏡の嫌味賢者(ん?さっきと微妙に表現が違っちゃった)は、わたしの天敵になった。
「何やってるんですか」「貴女馬鹿ですか?」って台詞はもう聞き飽きた。
ちょっと魔物に隙をつかれそうになったらいつの間にか物理的攻撃を遮断する結界張ってたり(実はチートといえども物理的攻撃には弱い。だって女の子だもん)、ちょっと魔王の情報集めるために酒場でいかついお兄さんたちに囲まれてたら保護者面して瞬間移動の魔法で拉致られたり。
こう、なんていうか、勇者としての面子とか子供扱いされたくない微妙な年齢の少女のプライドを痛めつけるような行動をする賢者には旅の間ずっとイラっとさせられ続けた。
魔王討伐の旅は、結構過酷だった。
魔物は昼夜構わず襲ってくるし、基本野宿だし、途中の街では権力者のいざこざに巻き込まれたり、魔王の居城ってどこだよ?!って躍起になってこの世界で一番高い山の頂まで登ってみたり、途中盗賊を倒すイベントで捕まえた奴が実は義賊さんでそのまんま依頼主の元に戻って水戸○門よろしく成敗してみたり。
あ、義賊さんはそのまま旅のメンバーに加わりました。だって顔広いんだもん。情報ってどこの世界でも重要だよね。
一番精神的に辛かったのはとあるいわく付きのダンジョンで仲間たちと離れ離れになったことかな。
そこに巣食ってた魔物ってのが精神攻撃と幻惑を得意としてて、過去の恥ずかしい所業が全部暴かれて思わず我を忘れた。そしてダンジョンごと破壊した。
再会した親友に震えながら縋りつくわたし、そしてそんなわたしに抱きつく魔法使いのお姉さん。ちょ、胸に挟まれて呼吸が...っ
そんな百合場面を苦笑交じりに見つめる第二王子とマッチョ騎士さん。そして何故か舌打ちする嫌味賢者。盗賊さんはダンジョンで見つけたレア物アイテムに夢中だった。
個性の強いメンバーだったけど、何故か馬が合ったようでそれ以後強い絆みたいなものが生まれた。
この頃からだったかな。第二王子の視線を感じるようになったのは。でもそれに気付いたのはわたしが第二王子のことを少し意識していたからだったかもしれない。
だって、考えてみてよ。
突然呼び出された異世界で勇者認定。一応不安みたいなものはあった。
全く知らない人たちから「勇者様」と崇められ、颯爽と現われ魔物を倒しいずれ魔王を倒すと信じて疑われていない。その視線がときに凶気じみてると感じた。
そんな異世界の中でわたしに唯一普通に接してくれたのは第二王子だけだった。
もちろん他の旅のメンバー(賢者を除く)も優しくしてくれた。だけど、わたしを「年頃の女の子」扱いしてくれるのは第二王子だけだった。
マッチョ騎士さんには妹扱いされてたし、魔法使いのお姉さんには愛猫?のような扱いをされてたし、義賊さんはまるで同級生の男子によう(つまりガキっぽい)だったし。
賢者?賢者は―――口五月蝿いお父さん的な?
だから、第二王子の視線を感じたときにふと思った。
魔王討伐を果たした後、どうしても元の世界へ還る方法が見つからなかったら―――第二王子にでも恋をしてみるのもいいかもしれない、と。
わたしのキャラじゃないんだけどね、こういうの。っとか考えながらも口の端が上がるのを止められなかった。
主人公に恋のフラグが立ったようです。




